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痛恨のフライングデス

もういい

[もういい]

キャラID
: HT410-632
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 130

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もういいの冒険日誌

2020-09-22 20:30:59.0 テーマ:釣りじまん

ドラクエ10釣り人情物語「人喰いワニの巻」

思えば遠くまで来たものだ。
まさか魔族の本拠地である魔界を旅することになるとは・・・
魔瘴が蔓延する不浄の地で、私は懐かしい再開をした。 「よぉ!俺だよ!俺!まさかこんな所で会えるとはな!」

彼は、いや私は相も変わらず彼の名前を知らない。
しかし彼が一人息子の病を治すために、氷の領界でエラスモサウルスと
死闘を繰り広げたのを、つい昨日のように覚えている。

いやそんな事より、なぜ彼が魔界に?

「いやなに、倅も一人立ちしてよ。」
「悠々と釣りをしながら余生を過ごしてたら、光の河に落ちちまってさ。」
「まぁしょうがねぇやと、ここに居着いているんだ。」

ごく稀にアストルティアから魔界へ迷い込む者もいるらしいが、その類のようだ。
それにしても、釣竿を担いでいるということは、何か大物でも狙うつもりなのか?
私は訪ねてみた。

「出るらしいんだ。人喰いワニが。」
「近くの駐屯所の兵士さんらが困ってるからよ、俺が成敗してやろうと・・・」

彼が言い切る前に、私は猛烈に反対した。
アストルティアに仇成す魔族の手助けなどとんでもない、と。

「おいおい、そう怒るなよ。」
「あんたは母ちゃんに、困ってる人は助けてあげなさいって
教わんなかったのかい?」 ・・・
複雑な心境ではあるが、私は彼の釣りを見届けることにした。
正直、人を喰らうという巨大ワニには少し興味があったのだ。

大食漢なのだろう。ワニはすぐにかかった。
エラスモサウルスやシーラカンスと比べると、肩透かしだった。
彼なら簡単に釣り上げるだろうと、顔に目をやると表情は強張っていた。

「こっこいつぁ・・・俺の想像よりでかい!」
「それに凄まじいパワーだ!首長竜にも引けをとらんぞ!」

巨大ワニとの激闘は長時間に及んだ!
粘りの持久戦、闘いは最早泥沼と化していた。
しかし突如巨大ワニが勝負に出た!
口を大きく、大きく開いたのだ!

「なんちゅう口のデカさだ!俺っち位なら丸飲みにされちまうぜ・・・」

このままでは川に引きずり込まれて、食べられてしまう!
竿をゆるめ、攻撃をいなすべきだと提案した。

「バカ野郎!もう3回ゆるめちまったからダメなんだよ!くっ・・・」

よく分からないが、めずらしく焦燥し声を荒らげる。

「こうなりゃ勝負に乗ってやらぁ!」
「俺が食われるか、お前が釣り上げられるかだぁ!」

彼が渾身の力を釣竿に込めると、釣竿が光輝いた!
ルアーではなく、釣竿が光るとは・・・!
するとくいつき度が一気に回復していくではないか!
巨大ワニの痛恨の噛みつきは致命傷にはなり得なかった。

「へへっ!異界滅神が何だ!創世の女神が何だ!」
「俺には釣りの神がついているんだ!!」

疲れ果てたワニには、もう成す術が無かった。
彼が全力で引くと、獰猛なその姿が露となった。






実に12メートルを誇る巨体。蛮勇で知られるバルディスタ兵を、
何人もなぎ倒して来た証左であろう。

「強敵だった・・・」
「こいつは然るべき方法で保管してやるぜ。」

その後、彼は件の駐屯所へ事の顛末を報告しに行った。

打ち解け会うプクリポと魔族達。
表情の硬い彼も、心なしか顔が綻んで見えた。

魔界とアストルティアの和解。
誰しもが不可能だと思うだろう。
私だってそう思っていた。
だがこの光景を見て、考えを改めなければいけないようだ。





魔界の辺境の駐屯所。
ここは今、正にこの世で一番平和な地となったのだ。
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