その森は、白化した木々が醸し出す神秘的な空気に包まれ
耳が痛くなるほどの静けさに保たれていた。
その何物も混じることのない透き通った空気の中
突如として中空に青白い魔法陣が、ぼうっと朧げに現れる。
そして寸刻のち、それまでの永遠を思わせる静寂を打ち破って
ゴゴゴッ……と唸りを上げ始めた。
地より湧き出る魔獣の声を思わせる、その低く重い音は
空気を震わせ、やがて周囲の木々を騒めかしていく。
次第に森全体に響き渡っていく昏く不穏な音。
その音が大きくなるにつれ、青白い魔法陣は徐々に
その輪郭をはっきりとさせ、力を漲らせていく。
永年、未知なる呪文を研究していた師匠が
その危険性により禁呪として封印した呪文は ──
だがしかし、今まさに魔法陣の袂に立つ愚かな弟子の囁くような
言の葉により、最後の一節の詠唱が終えられようとしていた。
今より解き放たれるは未知なる魔法!
呪文の執行者
「いでよ! ……え、えっと何? 忘れちゃった♪ テヘッ★」
未知なる魔法が ──
呪術の執行者の物忘れにより、未知のまま葬られた瞬間である!!
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