君がこの世界を去って、結構な時間が経ったね。
たまにふと、君のことを思い出すんだ。
今、思い返すと一緒に色んなところに出かけたよね。
懐かしいな、君と一緒に居た時の頃さ。
自宅がやっと持てた頃じゃないかなぁ・・・。
ルーラストーンもさ、自宅のほかは3つしかなくて、新しいことやるとさ、どれを消すかでものすごく悩んだよね。
一つのクエストをやるのも必死でさ、柵の向こうはもう未知の世界。
物を取りに行くのでさえ、準備を整えて、襲ってくる敵を必死に交わしながら進んだよね。
最初のレベル解放クエストでメガザルロック倒しに行った時なんて、たくさん持っていった魔法の聖水、使いきったっけね。
それでも、街と現地を3回、往復したっけな。
サポート借りるのもさ、ハハ・・・不便でさ、いちいち高レベルに転職しないと限度いっぱいまで借りられないし、フレとはいえお金かかったよね。
『エモノ呼び』なんて便利なものなくてさ、延々とトンブレロ狩ったり、タップペンギー狩ったり、アジト篭ったりしてさ
落葉の草原行ってイチョウを限度まで増やすこともしたよね。
ザコ敵でのレベル上げすら息を合わせなきゃだから、仲間に声かけてさ、延々と狩ったよね。
元気玉一回で『4万くらい稼いだ!やった!』って言ってた頃が懐かしいよ。
ボスモンスターもさ、あの頃はものすごく強くて、仲間必死で集めてさ、何度もやられて、教会に戻って、それでも倒せなくて、みんなで頭捻って作戦練って、やっと倒していったよね。
苦労したのがカミハルムイのボスだったよなぁ、あれ、やっと倒せた時さ
『嬉し泣き』ってのをガチでしたんだよね。
あれからさ、アストルティアはすごく変わったよ。
ほんと、ものすごく変わったんだ。
便利になった、そして稼ぎやすくなったよ。
色んな施設もできたし、移動も楽になった。
わざわざ外に出なくてもお金も経験値も稼げるようになったよ。
サポート仲間もレベルに関係なく強い人を借りられるようになったよ。
柵の向こうの世界もさ、前は泣きながら敵の間を縫って逃げまわってたけど、今は強いサポートが守ってくれるよ。
ボスもさ、強さが選べるようになったんだ。
サポートが強けりゃ強さが足りなくても黙ってるだけでサポートが倒してくれるようになったんだ。
がんばって仲間を誘う必要がなくなったんだ。
時間をかけてパーティを組む必要がなくなったんだ。
ほんと、楽になったよ。
でもさ・・・
あのころのワクワクはどこにいったんだろうって思う。
やれることはものすごく増えた。でもね
『今日はどこいこう』『今日は誰を誘おう』『あー、早く冒険したい!』
そういう想いは以前と比べて薄くなっていったのかもしれない。
とはいってもさ、この世界の生活を長く続けたからかもしれないけどね。
今でも楽しいことには変わりはないよ、でも、あの頃とは違うんだよね。
私はまだここにいるよ、やりたいことも、やり残してることもあるから・・・
「・・・って感じでオセンチな文章を考えたんだけど、どう?」
「・・・。」
「いやさぁ、バカばっかりやってるだけじゃないぞ、と。ふはははは。」
「・・・ほんっとご主人様。」
「ん?」
「アホですね。」
「えー・・・。」
-あとがき-
オンラインゲームとは進化するゲームとは言ったもので、この世界もずいぶんと様変わりしました。
提案広場に寄せられる様々な意見、そして、それを具現化する運営。
みんなが作り上げていくゲームですね。
でもたまにふと、最近の進化の仕方を見て思うのです。
MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)ってなんだっけ?
と。