月末になるとゲンちゃんは薄い給料袋の封を切らずに必ず横町の角にある郵便局へと飛び込んで行くのであった。仲間はそんな彼を見て貯金が趣味のしみったれたやつだと飲んだ勢いで嘲笑ってもゲンちゃんはニコニコ笑うばかり。
ろく君だけがしっているのだ。彼はここに来る前にたった一度だけ哀しい過ちを犯してしまったのだ。
仕事帰りの雨の夜チーム用のかきおきに
頭のブレーキが間に合わなかった彼はその日とても疲れてた。
変態あんたを許さないと彼をののしった。
被害者の店長の涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍らただ頭を擦り付けるだけだった。
それから彼は変わった何もかも
忘れて働いて働いて
償い切れるはずもないがせめてもと毎月あの人に仕送りをしている。