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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2015-01-12 03:40:20.0 2015-01-17 17:03:18.0テーマ:その他

【2.4ストーリーネタバレ注意】なりきり冒険日誌~混沌(1)

◆                                                                    ◆  不浄の世界を抜け、また新たな世界へとたどり着く。
 混沌とした様々な色が闇の中を漂う、奇妙な世界だった。

「まずは褒めて遣わそう。よくぞここまで辿り着いた」

 二つ目の世界を突破されたマデサゴーラは、しかし再び余裕の表情をその顔に浮かべていた。

「そして、私は諸君らに礼を言わねばならんようだな」
「礼だと……?」

 訝しげに様子を伺う我々に、魔王は6本腕を広げて高笑いを上げた。

「諸君らの闘いぶりは、私の創作意欲を刺激してくれた」

 と、芸術家ぶって六つの腕で腕を組む。フン、似合いもしない。
 私の嘲笑を意にも介さず、大魔王はご高説を続けた。

「経験があるだろう。戦いの中、偶然に……これぞ会心、これぞ必殺という一撃を繰り出せることがある。自分の動きと相手の動きが重なり合い、あらゆる防御を突き抜ける会心の一撃だ」

 にやりと私に微笑む……いや、睨みつける。

「そう、先ほど君が放ったような一撃だよ、魔法戦士君」

 剣を握り直す。先ほどの隼斬りは、確かに会心の手ごたえだった。
 そして、この男がこれまで創り上げてきた"世界"を思えば……言いたいことが分かりかけてきた。

「思ったことはないかね? 常にそれを放ち続けることができれば、戦いはどんなに楽か、と……」
「耳を貸しては駄目、油断せず攻勢を維持!」

 勇者姫の檄に、隙を伺っていた武闘家が地を蹴った。先制攻撃! 磨き抜かれた連撃が混沌の魔獣に襲い掛かる。
 一方、大魔王は無造作に巨腕を振り回しただけだった。
 ……そう見えた。
 だが次の瞬間、武闘家の身体はすさまじい勢いで後ろへ吹き飛ばされた。
 まるで、これしかない最高のタイミングで、会心のカウンターブローを決めたかのように。
 僧侶が武闘家に駆け寄る。
 やはり、そういうことなのか。
 巨獣が笑みを浮かべる。

「ようこそ、理想の世界へ」

 沈黙が空を支配した。
 ……マデサゴーラ。
 大魔王、マデサゴーラ。
 彼はまるで無邪気な子供のように、自分に都合の良い世界を次々と創りだす。
 もし、あらゆる呪文が一瞬で使えたなら。もし、あらゆる毒が敵に効果を発したなら。
 そしてもし、あらゆる斬撃が、魔法が、一撃必殺の力を持っていたなら。
 ……まさに子供が描いた理想の世界だった。
 巨獣がまた一歩、踏み出す。
 理想の力を得た魔爪が、あらゆるものを切り裂く、かに見えた。

 私は無言のまま剣を握りしめ、混沌の魔獣に駆け寄った。

「雑兵が、今更何のつもりだ」

 ハエでも振り払うように巨獣が爪を振るう。それを左にかわしながら、一閃。
 魔王の力をもってすれば、まさに蚊が刺したほどの攻撃に過ぎない、はずだった。
 だが。
 深い手ごたえ。

「ぐむっ!?」

 大魔王が声を漏らす。着地し、それを軸足に向き直り、返す刀でもう一撃。
 マデサゴーラの巨体に比べれば、小枝のような私の剣が、肉を裂き、骨まで届く。

「がはぁっ!」

 空を揺らすような悲鳴が響いた。巨爪を支える指の一本が、あっさりと千切れ飛んだ。

「やはり、そういうことか」

 勇者姫やその盟友に目配せし、共に頷く。
 大魔王は、墓穴を掘ったのだ。
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