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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2015-08-17 04:38:03.0 テーマ:その他

なりきり冒険日誌~造られしモノたち(2)【注:七不思議および3.0新マップに関する記述有り】

 さて、この遺跡の調査報告もまとめておこう。
 我々がこの地を訪れたのは、ここで起きた事件について、現場検証を行うためだったが……結論から言えば、これといった発見は無かった。

 代わりに、この遺跡自体については多少のことが分かった。
 この施設が現役だったのは今から3000年ほど前。かの機械兵にウルベア魔神兵08号とナンバリングされていたことから、間違いなくウルベア帝国の勢力下にあったものと思われる。
 ドワチャッカの古代史に度々登場する技術者、リウ老師もこの施設に関わっていたようだ。と、なれば時代的に、施設建造の主導者は"奸臣"グルヤンラシュだったのではないかと思われる。
 リウ老師は後にグルヤンラシュとの確執からガテリア皇国へ下ることになり、二度と戻ることはなかったそうだ。  ギイ、とかすれた金属音が響く。
 遺跡内では滑車式の昇降機が絶え間なく動いており、空のコンテナを次々と地下へと送り込んでいる。入れ替わりに地下から運ばれてくるコンテナの中には、ぎっしりと地下の砂が詰まっていた。
 この砂は何に使われるのだろうか? 素直に考えるならば防砂ダムから砂を吐き出すための何らかの処理を行っている、ということになるのだろうが……グルヤンラシュが絡んでいるのであれば、もう少し裏があってもおかしくない。魔神兵が守っていた研究所は、一体何を研究していたのか……
 付近には他では見られないこの魔物の姿もある。これも研究成果の一つだろうか。まだまだ謎は多い。
 古の時代の生き証人、ビャン・ダオ少年の意見を拝聴してみたいところである。
 私は一通りの調査記録を報告書にしたため、遺跡を後にした。
 外に出ると、砂嵐に曇るダラズの夜空は暗く、月明かりも届かぬ闇が採掘場を包んでいた。
 こんな場所に長居は無用。ルーラストーンを取り出し、飛び立とうとした……その時である。
 私は怖気が走るような、おぞましくも強烈な視線を背ビレに感じ、背後を振りかえった。
 そこには……嗚呼、なんということだろう! 
 言葉にすればあまりに滑稽、荒唐無稽な法螺話と化すに違いない! ……だが真実を語る時、躊躇いは罪である。
 何より、思考の表層では我が目と正気を疑いつつも、今、そこにあるモノが空想や見間違いの産物ではなく、確たる現実の光景であることを、私の五感全てが間違いようもなく認識してしまったのだから。
 故に、ただ事実をここに記す。

 吹き抜ける砂の向こう、採掘場を見下ろす防砂ダムの更に上。
 巨大な人影が、こちらを見下ろしていた。
 切れ長の白い眼。長い耳。頭髪の無い頭部。
 彼は石造りのダムの屋根を両の拳で掴み、覗き込むように私を見つめる。無言のまま、ただ眺めるように。あるいは、何事かを訴えかけるように。
 砂を閉じ込めるための防砂ダムが、まるで巨人を閉じ込める檻のように見えた。だが……ナムサン! 採掘場を覆う巨大な檻ですら、あの巨人には小さすぎるのだ!
 今にも柵を乗り越えて、巨大な脚が私を踏みつぶすのではないか……! 私は身構えることすらできず、砂塵と闇の中、ただ立ち尽くしていた。  幸運なことに、私の畏れは現実とはならなかった。巨人は現れた時と同じく、何の前触れもなく姿を消したのである。
 冷え切った身体が呼吸を思い出したのは、それからしばらく後のことだ。続いて、冷や汗がびっしょりと背ビレを濡らす。
 吹き付ける風が汗を拭い去った頃、私は思い出した。このダラズ採掘場が、アストルティア七不思議の一つ"砂塵にうごめく大巨人"の舞台であることを。
 私は震える手でルーラストーンを取り出し、ドルワームへと飛んだ。  研究院に務めるドクチョルは、七不思議研究の第一人者である。
 彼の説によれば、あの巨人はドワチャッカの古代文明を亡ぼした"滅びの巨人"であるらしい。
 突飛な空想といえばそれまでだが……これにはかなりの信憑性がある。と、いうのも、古代文明の崩壊には、あのグルヤンラシュも一枚かんでいるはずだからだ。
 グルヤンラシュの政権下で建造されたダラリアの巨大施設。それと地続きになった防砂ダムに出没する巨人。無関係とは思えない。
 あの遺跡は、我々が思っている以上に重要な場所なのではないか……?

 思いがけず古代文明の真実に一歩近づいてしまった我々だが、今はそれを追及している時間が無い。
 いずれ、全ての事件が片付いたころ、改めて本格的な調査を行ってみたいものだ。
 ドクチョルに後を任せ、私は研究院を後にした。
 魔法の絨毯がゴブルの砂漠を駆け抜ける。
 風に乗ってドワチャッカの砂が舞うと、背中にはまだ、あの視線が突き刺さっているように思えて、私は思わず背ビレを震わせるのだった。
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