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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2016-12-10 22:42:48.0 テーマ:その他

遊泳都市(1)~なりきり冒険日誌【注:水の領界についての記述有り】

 テーブルの上から一房、粒状のカラフルな実をつけた茎を引き寄せ、口に放り込む。
 舌の上で果実が弾けると、途端に濃いアルコール分を含んだ果汁が口中に広がり、思わずむせ返りそうになる。
 やがてエキスは口の中の水と溶け合い、ほどよい酸味が舌に絡みついたところで喉に吸い込まれていった。
 海ぶどう酒というらしい。
 変わった酒を造るものだが、この街では、こうして果実の中に閉じ込めでもしなければ、飲み物を保存することなどできない理由がある。
 テーブルの隣を魚たちが通り過ぎていくのを横目で眺め、私はもう一房、海ぶどう酒を引き寄せた。
 海底都市ルシュカ。
 ナドラガ教団の先導の元、私がこの不可思議な都を訪れたのは、つい先日のことである。
 海の中に住む人々。空気をはらみ、呼吸可能な水。噂には聞いていたが、実際に確かめるまでは半信半疑だった。特に最初の一呼吸は、正に恐怖との戦いだった。ウェディの私でさえそうなのだから、他の種族はそれ以上に違いない。
 ニャルベルトなどは、最後まで水に潜るのを嫌がっていたものだ。

「毛が水を吸って重くなるのニャー」

 この分だと、プクリポ族も苦労しているに違いない。  店を出て、周りに誰もいないのを確認すると、私は廊下をふわりと泳ぎ始めた。ここは海底都市。室内だろうと水の中である。
 天井と壁に囲まれた通路の中を泳ぎ進んでいく感覚は新鮮で、四角く切り取られた視界と、次々に私を通り過ぎていく魚たちの群れが、私を童心に帰らせた。
 建物の中を泳ぐ経験は、誰にでもできるものではない。十字路に差し掛かり、私はカーブをかけて進路を左に変えた。慣れないせいか、曲がり切れず壁に寄り過ぎた。咄嗟に脚で壁を蹴り、加速。噴き出した気泡と共に出口へと向かう。
 細かな泡がくすぐるように私の全身に触れ、一瞬、視界を覆う。それが晴れると、出口のドア。
 ドアノブに飛びつくように触れると、ゆっくりとブレーキをかける。犬かきの猫魔道が背ビレにぶつかった。

「ついでだ。宿まで泳ぐか」
「魚の本能だニャ?」

 ニャルベルトは呆れ顔を見せたが、その実、口元が緩むのを隠しきれていない。
 街を泳ぐ。
 地上ではありえない体験に、猫の尻尾はゆらゆらと揺れていた。
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