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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-01-29 12:27:49.0 2017-01-29 12:35:09.0テーマ:その他

ルネッサンス情熱(2)~なりきり冒険日誌

「貴方は何故、ここに?」
「例えるなら、時代という名のメカニズムが忘れさせた人の心を、この白いキャンバスに叩きつけるためだよ」

 幻想画家は浮遊する額縁の、真っ白な中身に掌を叩きつけた。

「パッション! イッツ・マイ・ラヴ! ルネッサンスだよキミ!」
「いや、例えずに答えて頂きたいのだが……」
「キミ、それは芸術家に死ねと言っているようなものだ」
「私が聞いているのは……」

 一歩引き、コホンと咳払い。

「何故このグランゼドーラに、ということです。ミスタ・ルネデリコ」
「街は生きている!」

 再び幻想画家は声を張り上げた。

「見たまえ、街ゆく人々を。それぞれの事情と感情を抱えて街の中心へと向かい、満たされ、あるいは疲弊し、再び郊外へ戻っていく。彼らは街に吸い込まれた息だ! 吐き出された息だ! エンドレス深呼吸! 熱い息なのだよ!」
「つまり……人のいる場所の方が芸術の刺激になると?」
「平たく言えば、そうだ」

 常に平たく願いたいものだが、そうすると芸術家は死ぬらしい。まったく難儀な生き物だ。
 私は天を見上げた。紫色の空を。
 何故、"この"グランゼドーラに……? 私の意図は彼には伝わらなかった、らしい。

「キミはどうも無粋だな。芸術を解さんのかね」
「これは、どうも……」

 私は切り口を変えてみることにした。軽く額縁に手をふれる。

「絵というのは……単に風景を切り取ったものではないそうですな。額縁の中に……一つの世界を創造する」
「ほう!」

 彼はドジョウ髭を跳ね上げた。

「わかるかね!」
「少しは」
「まさに! 芸術とは己の内にある世界を表現すること! この限られた額縁の内に無限の世界を作り出す!」

 ルネデリコはキャンバスに叩きつけた拳を握りしめ、そして無邪気に笑った。

「創世神の気分だよ」

 黄昏の世界が、鼓動を早めたようだった。

 あの幻想画事件を聞いた時、私は奇妙な既視感を覚えた。
 そう、私は知っていた。童話の登場人物と出会える世界を。
 私は知っていた。己の思うままに、呆れるほど無邪気に、新しい世界を生み出していった男の名を。

 ここは偽りの世界。芸術家を自称する男が、己の願望をそのままに映し出した世界。
 ならば私の目の前にいるこの男も、誰かの願望なのではないか。
 ただの純粋な芸術家でありたかった、誰かの。

「さあ、キミも私の芸術活動に協力してくれ。どの戦いを再創造するのかね?」

 キャンバスの創世神は、無邪気な笑みを浮かべた。
 私は曖昧な笑みを返した。
 たとえ私の邪推が当たっていたとしても、彼を裁く法はあるまい。ヴェリナードへの報告書は、平凡な内容に終わりそうだ。

 彼の芸術活動に協力しながら、あり得たかもしれないもう一つの物語を、想像してみるのもいいだろう。
 偏屈だが才能あふれる芸術家は額縁の中に数々の世界を創り出す。その隣には彼の協賛者がいて、恐らくそれは逞しい剣士だ。
 剣士は勇ましく戦い、芸術家はその情熱を絵筆に乗せる。
 誰に認められなくとも、彼らは幸せであろう。

 グランゼドーラの鐘が鳴った。現実味の無い空に、それは高らかに響いた。
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