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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-06-24 16:33:43.0 テーマ:その他

竜鱗(2)~なりきり冒険日誌

 バトルロードを突き進むソーラドーラ達に前に立ちはだかったのは、ナドラガンド各領界より招聘された精鋭ドラゴン分隊だった。
 黒翼の邪竜、ブラックドラゴン。
 海底の主、竜宮王。
 そして金鱗の巨竜、グレイトドラゴン。
 相変わらず異次元的人材調達能力を見せつけるカレヴァン氏にはいくつ帽子を脱いでも足りないのだが……それはさておき、
 万雷の拍手と歓声の中、グレイトドラゴンとドラゴンキッズが向き合った。
 尻尾は天を突き、全身の筋肉がこわばる。
 試合開始の鐘が鳴る。
 ソラはかつて敗北した巨竜を正面から睨みつけ、果敢に立ち向かっていった。

 ドラゴンキッズの小さな肉体が光のブレスをかいくぐり、竜鱗に爪を突き立てる。上空に退避した巨竜をさらに追いかけて大地を蹴る。連撃! かつていとも簡単に跳ね返された仔竜の攻撃は、確かに金鱗を貫いた。
 だが敵もさるもの。尻尾を巧みに使って仔竜をけん制し、隙あらば輝く息で吹き飛ばす。辛うじて踏みとどまり、反撃を仕掛けようとした仔竜はその直後、空気を揺るがす激しい雄たけびに弾かれた。
 グレイトドラゴンは竜の王者。一筋縄ではいかない。猛攻が始まった。
 金の風が闘技場に交差する。
 グレイトドラゴンの剛腕が、宙を舞う翼をはぎ取らんばかりに空を薙ぎ払い、つむじ風を巻き起こす。仔竜は地に下り、俊敏な動きで敵の懐を狙う。それを踏みつぶそうと叩きつけられる巨大な脚の爪。
 どの一撃も喰らえば即、致命傷につながるだろう。紙一重の戦いを続けるソラの肉体は極限の疲労に苛まれていた。
 一方のグレイトドラゴンは、小さな爪の連撃に少しずつ体力を奪われていたものの、まだ余裕がある。
 体格差は歴然。
 それでもなお、反撃を試みるソラはそこで違和感を抱き、小さな体を震わせた。
 後ろから飛んでくるはずの援護の呪文が途絶えていることに、ようやく気付いたのである。
 彼が巨竜に夢中になっている間に、他のドラゴンたちが後衛を襲い、パーティは壊滅寸前だった。
 そして援護が途絶えたことにより、彼自身の戦いも成り立たなくなる。
 一歩、また一歩と近づいてくる巨竜の足音は、全滅への秒読みだった。
 雄叫びと共に、自暴自棄とも思える突進を敢行する。だが、巨竜の咆哮を前に、それは届く前に弾き返された。
 ソーラドーラはまたも敗北したのである。

 ドラゴンキッズは意気消沈していた。鍛えに鍛え抜いたはずの力は、それでもあの巨竜に及ばなかった。
 ここで彼らのバトルロードは足踏みを強いられる。
 勝つだけなら、なんとかなったかもしれない。例えば猫魔道のニャルベルトがいつも通りリーダーに戻ってニャルプンテで敵の足止めを行ったなら、それだけでもかなり違ったはずだ。
 だが、猫は首を横に振った。

「今回のリーダーは、お前ニャ!」  彼はあくまでソラを中心とした戦いに拘った。あの猫にしては、粋な采配だ。
 この采配が意外な変化を呼ぶ。

 ソーラドーラはこの時から、リーダーとして戦術を模索し始めた。力で敵わない相手にいかに戦うか。弱者の戦い方に切り替えたのである。
 意地っ張りな彼のこと、本来ならば力で勝ちたかったに違いない。
 だが、今の彼はリーダーだ。チームを勝利に導く義務がある。
 翼をはためかせて追い風を起こし、敵のブレスを跳ね返す作戦。あえて仲間とは別の方向に走り、敵を分断する作戦。
 ニャルベルトや私の指示を受けて戦っていた彼にとって、自分が中心となって戦いを組み立てるのは初めてのことだった。
 立場は人を成長させる。竜もまた然り。
 何度目かの挑戦。
 俊敏な動きで敵をかく乱するソラを、グレイトドラゴンは壁際に追い詰めた。
 とどめとばかりに振り上げた巨大な鉤爪はしかし、振り下ろされることはなかった。
 背後から隙をついたニャルベルトの火球が、巨竜の金鱗を焼き砕いたのである。
 巨竜が地に沈む。ソラは複雑な気持ちでそれを見つめていたことだろう。
 自分の力で勝利したのではない。そこにかすかな苦みがある。
 だが、それでも……

「もうお祭り騒ぎだったニャー!」

 彼は仲間と共に掴んだ勝利を大いに喜んだそうだ。

 昇格試験は他に二戦ほど用意されていたが、勢いに乗る彼らの前に敵はなかった。
 こうして、ソーラドーラの武者修行はSランク昇格というおまけ付きで幕を閉じたのである。

 彼らがムストに帰還する頃、リルリラもまたエルドナの神獣、天神鹿由来とされる神具、天風の手綱を持ち帰ったところだった。
 後は神獣の力を借りて、ナドラガの祠を目指すのみ。
 ようやく、事態は動き始めた。
 黒渦の男が頷く。
 我々を背に乗せたミカヅチマルは、その瞳に強い光を纏い、天神鹿の住まうという神獣の森へと向け、颯爽と駆けていった。
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