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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-07-02 13:48:24.0 テーマ:その他

剣閃(2)~なりきり冒険日誌【注:ver3.5のストーリーに関する記述有り】

 土煙の舞う中、二本の剣が重なり合う。鈍い金属音がムストの地下洞に響き渡った。
 鍔迫り合い。歯を食いしばったヒューザの顔が、同じ表情の私の眼前にあった。
 ヒューザは剣を両手持ちに持ち替え、幅広の剣に更に力を込める。細身の剣を持つ私は徐々に押されていった。
 瞬転! 私は身を翻して力比べを避け、そのまま回転の勢いを剣に乗せる。再びの金属音。ヒューザは分厚い剣身でそれを受け止めて見せた。が、これも想定内。
 私は体ごとぶつける勢いで盾を前に突き出し、シールドアタックを敢行した。流石の大型剣もこれを支えること能わず、ヒューザは数歩、後退する。
 だがその表情はいささかも怯んではいない。

「随分泥臭い攻撃じゃねえか。気取った魔法戦士サマらしくねえぞ」
「貴様を参考にさせてもらったのでな!」

 理力を剣に込め、光の斬撃を飛ばす。ヒューザは一瞬、腕を硬直させ、凄まじい勢いで剣閃を放った。
 轟音が響く。カマイタチと光が互いを喰らい合い、弾ける。その内側から、ヒューザの剣が舞う。
 銀の五月雨が私の身体へと降り注いだ。一つ、二つと剣で受け流し、三つめは盾で止める。四つ目が私の肩口を浅く抉った。
 痛みより先に寒気が走り、次に熱が湧きだした。瘴気纏う剣から血が滴るのを見て、ヒューザは笑った。

「一度本気でやり合ってみたいと思ってたぜ、お前とは」
「これが本気だと?」

 血を拭いながら私は剣を構え直す。

「だからお前は冗談が下手だというんだ」

 私は盾を前に突き出しながら剣を大きく引く。刺突の構えだ。
 ヒューザは無形の位。無造作に剣を下げ、敵の動きに集中する。
 私の脚が地を高く蹴る。剣術書の曰く、不死鳥が天を舞うが如くに。雄叫びと共に、突きから始まる四連撃を繰り出す。
 ヒューザの赤く光る眼が、その一太刀一太刀を悉く睨みつけ、見極める。
 鋼と鋼がぶつかり合う。鈍い衝撃音が四つ、立て続けに響いた。
 有効打は一つたりともなし。体勢を崩しながら着地する。不死鳥、地に堕つか。
 否!
 私は更に腰を落とし、両手を広げた。剣術書の曰く、隼が翼を広げるが如くに。地を踏みこみ、下段からの四連撃を再び叩き込む。
 流石のヒューザが後退を余儀なくされた。私は更に地を蹴った。
 剣を両手に持ち替え、光の理力を刀身に漲らす。
 一方、ヒューザもまた剣に独特の魔力を込め、稲光をほとばしらせた。
 いつかの再現……! 私のギガブレイクとヒューザの放つ雷光がムストの地下に交差した。  真白く染まる視界。
 私とヒューザは互いに弾かれ、数歩後退していた。
 どちらも息が荒い。だがヒューザの口元にはなおも笑みが浮かんでいた。

「おもしれえぜミラージュ。もっと早くやってりゃよかったな」

 赤黒い光……否、もはや黒一色となった瘴気がヒューザを包み、その表情を歪めていく。
 唯一残った眼光だけが不気味に赤く輝いていた。

「もっと楽しませてもらうぜ」

 腰を低くして剣を構える。漆黒の剣を。

「いい加減にしろヒューザ。こっちは少しも楽しくないと言った筈だ」

 もはや私の声すら届いているかどうか。瘴気の塊と化したヒューザの手元で殺意の剣が光を放つ。
 私は剣を強く握り、両手を交差させた。怒りを込めて!

「そんなお前に勝つために、修業をしてきたわけではないッ!」

 混沌の理力が剣先に集う。暴走寸前の危うい力を純白の弾丸と化して、目の前の影に向ける。赤黒い影に!
 ヒューザが地を蹴る。フォースブレイクが放たれる。
 無言の雄叫びと共に、白と黒の衝撃が弾けた。理と混沌、光と影が渦を巻いて爆発する。轟音が地下を貫いた。
 ムストの地下に色とりどりの光が舞い、兵士達が恐怖に慄く。
 そして光が晴れた時、私の胸元には一筋の黒い傷跡が刻まれていた。
 膝から崩れる体をようやく剣で支える。
 私は影の中から立ち上がる剣士の姿を辛うじて睨みつけていた。
 影がよろめく。無傷ではない。
 その瞳が、カッと大きく見開かれた。
 黒い瞳。赤い瘴気の光ではない。

「俺は……」

 ヒューザが頭を押さえる。私は注意深くその様子を観察した。
 これで元に戻ってくれたのか……?
 だがその淡い期待を打ち砕くものがあった。
 耳を刺すような、高く澄んだ、金属音。場違いなまでに涼やかで美しく、そして高圧的な、これは……

「鈴の音……?」
「ミラージュ」

 ヒューザは顔を上げた。再び、赤い光を纏って。

「時間稼ぎは終わりだ。勝負は預けとくぜ」
「待てッ!!」

 追いすがる暇も無く赤黒い渦に包まれて、ヒューザは姿を消した。
 立ち上がろうとした私の胸から血が噴き出す。
 兵士達が慌てふためく。
 私は立つこともできず、ヒューザの消えていった場所をじっと睨みつけていた。
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