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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-07-03 21:59:45.0 テーマ:その他

流れよ我が涙、と神官は言った(3)~なりきり冒険日誌【ver3.5のネタバレ注意】

「風乗りの少女を連れて祠に向かったとき、貴女はどんな気持ちでいたのです? 彼女が邪悪なる意志の手に落ちたことは、知っていたはずでしょう」

 その言葉にまたも女神官の顔が影を帯びた。リルリラが口を尖らせた。

「だからそれは、あの怖い人に操られて……」
「それは違います」

 神官はきっぱりと否定した。私とリルリラが彼女に視線を集める。

「確かに操られていたと断言できるのは、あなた方と戦った時だけ……それ以外は、常に意識はあったのです。私は私の意思で動いていた……そのはずです」

 そして彼女は、自嘲的に薄く笑った。泣くような笑いだ。そう思った。

「違和感は、ずっとあったんですよ。あの少女は何故ここにいるのか。どうして私がこの子を連れて行くのか。何かがおかしいと思い続けて……」

 神官は両手で顔を覆った。

「なのに私は、確かめようとしなかった……いいえ、きっと確かめたくなかったのでしょう」

 首を振る。ここが人前でなければ、突っ伏していたに違いない。

「問いただせば、知ることになる。私の知りたくない事実を。それが怖くて、私は……」

 ああ、と嗚咽にも似た溜息が漏れた。空気が淀む。

「私は臆病で、卑怯な女です」
「違うと思うヒト、はーーい!」

 と、能天気な声が空気を晴らす。
 自ら宣言して挙手したのはリルリラである。
 堅物の神官殿がさすがに目を丸くして両手の間からエルフを見た。エルフは薄い胸を堂々と張った。
「だってエステラさん、そんな人じゃないもん」
「しかし、実際に私は……」
「便乗して私も挙手させて頂こうか」

 戸惑う神官に私は声をかけた。黒い角が振り返る。

「貴女は信念と理性の人だ」

 そして情熱と激情の。口には出さず私は付け足した。

「いくら教団への複雑な気持ちがあると言っても、そんな根本的な疑問をないがしろにできるわけがない。にもかかわらず、何故疑問を確かめようとすらしなかったのか」

 腕を組む。違和感の源、そして……

「ヒントはそこにあるんじゃあないのか?」

 女神官は訳が分からないという顔で瞬きした。私は言葉を続けた。

「ヒューザ……私の仲間も奴に操られたが……普段のあいつは、術の影響などまるで感じさせなかった」

 傷を癒す間、考え続けたことだ。あの男と肩を並べて戦い、笑いあった時間は全て偽りだったのか、と。
 そうは思えない。

「ただ、なんとなく気が乗らない。そう言ってあいつは烈風の岬行きを断った。恐らく嘘じゃあない。自分の意思で断ったと、あいつは思っていたはずだ」

 自分の意思で。女神官はピクリと反応した。

「しかしヒューザがここに残ったことで内部からの襲撃が可能となった。岬行きを断ったのは間違いなく、敵の指示によるものだろう」
「操られたという事実さえ、忘れている……?」

 驚愕と驚嘆の狭間で、彼女の目が鋭く光った。謎を追う探索者の瞳だ。

「多分、操るというほどのことではないんだ。ほんの小さな思い付き、些細な気分の変化、度忘れ。その程度でいい。岬に行くのはやめておこう。風乗りについて尋ねるのは後にしよう。何かを確かめようとしたが、忙しくてつい、忘れていた……」

 神官の手元で茶が大きく揺れた。心当たりがあるのだろう。

「その思い付きが自分自身のものだと思っている限り、ヒューザも貴女も、自分の意思で動いていると思い込む。まして、心の奥底にそうしたいという気持ちが一かけらでも存在したならば、もうアウトだ。疑うことすらしないだろう」

 神官の唇が青ざめていくのが分かった。私も恐ろしい。この思い付きだって、本当に私自身のものか? 敵が自分を有利にするために私に間違った発想を囁いた可能性は?

「あの男の手口は実に巧妙だ。人の心理につけこみ、思い通りに操る。そのほとんどは、術によるものでさえない」

 こんな議論でさえ、奴の掌の上ではないと、誰が断言できるのか。

「……だが逆に言えば」

 妄想を振り払って私は言った。

「彼にはそれしかできないんだ。常に人を操り続けるほどの力は無い。それができるなら、なにもこんな回りくどいやり方はしなくていいはずだからな」

 言葉とは裏腹に、私の胸には暗澹とした気持ちが渦巻いていた。邪悪なる意志とて全能ではない。だからこそ、狡猾に立ち回る。
 その狡猾さに、我々は太刀打ちできるのか?

「希望が見えた……というより、その逆の気持ちですが」

 力なく笑みを浮かべる。神官殿も同じ思いなのだろう。その声は暗かった。

「この分だと教団は、完全に支配されていると考えたほうがよいでしょうね」

 彼女にとって、それは同胞との戦いを意味する言葉だった。
 唇が湯呑に触れる。茶は少し、冷めかけていた。
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