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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-07-03 22:00:28.0 2017-07-15 19:30:10.0テーマ:その他

流れよ我が涙、と神官は言った(6)~なりきり冒険日誌【ver3.5のネタバレ注意】

 来訪者は嵐のように訪れ、風のように去っていった。
 残された私はムストの街で治療に専念しつつ、今後の展望を検討していた。
 長く続いた戦いもいよいよ佳境。決着の日はそう遠くないはずである。

 改めて、ナドラガ神とアストルティアの神々、そして神獣たちについて考えていくと、一つ、奇妙な疑問に突き当たる。
 "解放者"殿が各地の聖塔を登り、領界を繋いでいった時、神々はそれを祝福する言葉を与えたという。
 つまりこの時点で神々は、ナドラガンドが一つに戻ることを許容していたはずである。
 だが神獣カシャルは言う。ナドラガンドを一つにしてはいけない。それは邪神の復活を意味するのだ、と。
 神々の意思と神獣たちの思惑が、どこかで食い違ったのだろうか?
 もっとも、聖塔に記された神々の言葉はあくまで事前に吹き込んだもので、現在の神々のものではない。
 辻褄の合う仮説としては……
 統一自体は既定路線だが、それは封印されたナドラガが完全消滅した後でなければならなかった。それが想定外に早まってしまったために神獣たちが慌てている、ということだろうか。神々の気の長さは"浄化の月"の一件でも証明済みだ。竜族にはあと数千年ほど我慢してもらう予定だったのかもしれない。
 神ならぬ身でそれを思えば、気が遠くなるばかりである。

 勿論、謎はそれだけではない。
 あの邪悪なる意志を名乗る男についても、疑問は尽きない。
 最大の疑問は、彼の行動が彼自身の意思によるものなのか、それとも更に大きな存在の……この際、言ってしまおう。ナドラガ神の……意思に従ってのものなのか、だ。それよってこの戦いの位置づけも変わってくるだろう。
 前者であれば、一連の出来事は竜族の境遇に憤った男の、神の名を借りた暴走だ。そして彼を暴走させたのは竜族が置かれた境遇であり、神々の歴史そのものである。
 アストルティア、ナドラガンド全土を巻き込んだこの戦いは、いわば神話の大戦の後始末と位置づけられることにだろう。この場合、ナドラガ神自身は今回の戦いに全く関わっていない可能性が高い。
 一方、後者であれば、あの男自身、邪神の手ゴマの一つに過ぎなかったことになる。彼の頭の中には、いつも鈴の音が鳴り続けているのではないか?
 そしてこの戦いは、ナドラガ神にとっては封印によって中断されていた大戦の続きであり、神々の戦いの後半戦と位置づけられることになるだろう。アストルティアの歴史などは、大戦の合間に綴られた、儚い幻に過ぎないというわけだ。

 全ての答えが明らかになるのも、それほど先の話ではない。
 それはつまり、ナドラガ教団との決戦を意味する。
 装備も整えねばならないだろう。噂に聞くヴァンガード装備は、恐らく上下一体型。究明者を引退させて新調する価値はありそうである。
 ルネデリコはまた新しいインスピレーションが湧いてきたと騒いでいるし、ニャルベルトはニャルプンテに更なる磨きをかけようと意気込んでいる。ジスカルドもソフトウェアをアップデートして継戦能力を向上できそうだと言っていた。
 斧使いは妙な方向に進んでいくようだが、我々魔法戦士のパートナーとして返り咲く展開はあるだろうか? 注目すべき点は様々だ。
 そういえば、ジスカルドはカーラモーラのサジェと共に何か調査をしているはずだが、その首尾はどうなったのだろう。
 まだまだ、未知のことは盛りだくさんである。

「ま、その前に体を何とかしないとね」

 リルリラが包帯を取り換え、傷跡に薬を塗り込む。ようやく治癒が完了しようというところだ。

「言っとくけど、まだ無理ちゃダメだからね。治りかけが一番肝心なんだから」

 腕を組み、ふんぞり返るエルフである。やれやれ、ドクターに従おう。 「そういえば、気になっていたんだが」
「なに?」
「お前が聞いたという、声のこと、な……」

 私は先日の神官殿との会話を思い出していた。

「……答えとやら、見つかったのか?」
「………」

 リルリラは答えようとせず、私の顔をしばらく眺めていた。少し困ったような、少し怒ったような。
 そして目をそらすと、悪戯っぽく舌を出した。

「さあ、ね」

 ひらりと身をかわすように背を向けて、エルフはさっさと出ていった。
 どうも、未知の領域はそこかしこに広がっているものらしい。

 からからと、乾いた音を立てて風車が回る。
 神々、神獣、神の器、そして人々。全ての歯車がかみ合って何かを動かすのか、それとも歪み捻じれて、全てを壊すのか。
 答えはすぐそこにある。
 新しい時代の風が、風車をゆっくりと回しはじめるのを、私はじっと見つめていた。
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