「盛り上がっている所、悪いけどここは私達に任せて貰おうか」
リンドウが攻撃を再開しようとする全員を制止した。
「うさこ、ねる、あれをやるよ!」
「へっ?」
「はい!?」
リンドウに突然に、名前を呼ばれて驚いた感じで弟子の2人が返事をすると。
「溜まってきた。これを雷帝共々浄化してやろうじゃない」
部屋全体に漂う、魔瘴とその発生源である雷帝を見て言うと。
「そうですわね」
「あれかー」
2人はリンドウが何を始めるかを、理解し返事と共に準備を始める。
2人がリンドウの両脇に着くと、オーレリーを前にリンドウは呟いた。
「幾千の強者。戦乱の語り部。歴史に刻まれし英霊たち。」
リンドウの言葉にオーレリーが輝き始める。
「平和を願う現代(いま)の人間として、今一度顕現を願う。」
両脇の2人も輝き始める。
「散りゆくすべての魂よ、此処が奇跡の楽園なり。」
「「「ここが魂の眠る理想郷(ガーデン・オブ・エデン)」」」
オーレリーとウサみんとねるが眩ゆく激しい光を発した。
「眩しい!」
かいりはそう言うと目をつぶりながら手で隠すとマユミ
も同じ様に目を塞いだ。
「な、なにこれ!」
ぱにゃにゃんも目を守りながら、何が起きた分からず思わず声をあげた。
「オォー」
クマヤンもサングラスの間からでる、あまりの強い光に思わず悲鳴をあげた。
『グ………ゴ…………ゴ…』
激しい光が収まっている事に、クマヤン達が気付いたのは雷帝の低く苦し
そうな声が聞こえてからだった。
「ここは…どこだ…?」
サングラスをしていた、クマヤンが周囲の異変に最初に気付いた。
「楽園みたい…」
「暖かい!綺麗ー!」
妖精達は部屋が暖かく1面を花で覆われて驚き飛び回った。
「魔瘴を全て花にしたのさ、奥義の1つさ」
リンドウが平然と言った。
「あ、あれ…地獄の帝王が…」
リンドウたちの話を他所にかいりが雷帝を見て、あまりの衝撃に言葉が
出にくくなっていた。
「何だこれは…」
「雷帝が花だらけ!」
体中を隈無く花に覆われている雷帝の姿を見て、何が起きてるか分からず
クマヤンはそう呟くと、代わる様にマユミが雷帝の状態を言った。
「やはり、魔瘴の塊の様な奴には効果てきめんだったね」
満足する結果になりリンドウは気を良くし話を続けた。
「それもこれも、雷帝の動きを止めてくれたからさ。なにせあいつの攻撃は
鬱陶しくて、弟子たちに集中させるスキも無かったからね」
「疲れた!」
「私もですわ」
ウサみんとねるは、限界まで力を使ったせいか、その場で座り込んでいた。
『グッ…………………』
「あっ!」
リンドウが話していると、雷帝が声を出したと同時にかいりが声を上げた。
その声に全員が、雷帝を見ると雷帝の体が消え去り残った。大量の花が
ドサッと落ちてきた。
「何したのよ?」
呆れた様にぱにゃにゃんが言うと。
「動かないのかなと思って、触ろうとしたらこうなったのよ」
かいりが弁明していると、カーンと金属がぶつかる音が響いた。
「あれは!まさか!?」
何かを感じて、クマヤンは雷帝を倒した大量の花に向い走り出した。