死にづらい僧侶になりたい。
そうだ、きあいスキルの『常時最大HP+40』を取ろう!
という目的で始めた武闘家のレベル上げ。
その修行の道は長く、とても険しいものとなった……。
まだ武闘家はレベル1だった僕。
雪山での修行がカッコいいと考え、ランガーオ村のサブクエストをこなしてレベルを上げることに。
最初はおつかいだけのクエストが多く、対して労せずにレベル1から30代まで上がった。
……しかしここまで楽してレベルを上げてきた罰なのか、最後のクエストのボスに こてんぱんにやられる。
大ケガを負いながら、泣く泣く下山……。
逃げるようにしてやってきたのは港町ジュレット。この町で途方に暮れていると、強い武闘家を探すヤーンという男に声をかけられた。
彼の持つ本に書いてある通りに修行をこなせば、武闘家として更に強くなれるという。彼はその修行をこなせる強い武闘家を探していたらしい。
ランガーオ村のサブクエのボスにメッタメタに殺られた直後の僕に声をかけるとは……。
ヤーンの人を見る目を疑いながらも、僕はその修行をなんとかこなしていった。
修行をこなすと、ヤーンからご褒美に「これを着て更に強くなれ」と、『ぶどうぎ』をもらった。
ド派手なピンク色の服だった。
こ、こんな派手なピンクの服を、僕に着ろというの?冗談でしょ?
……だめだ、ヤーンは本気だ。
この服を本気でカッコいいと信じきった目だ。
これを着ないのは、彼のセンスを否定することになる。それは申し訳ない……。
仕方なく着て戦うことに……。
さっさとレベルを上げて、もっと強い服を着れるようになろう……。そしてそれをこの服を脱ぐ口実にするんだ。それならヤーンも自然に納得してくれるはず。
不思議とこれまでよりも修行によりいっそう精が出た。
そんな目標ができたお陰か、その後は割と難なく修行をこなせた。
なんだ、大したことないじゃないか。
しかしこの慢心が、大きな災いをもたらした……。
「か、かるぼなぁらぁ~~~っ!!」
ちょっとした僕の不注意で、なかまのかるぼな~ら(ホイミスライムの名前)を死なせてしまった……。
ふくびきでスカウトの書が当たったから、じゃー仲間にしとくかーって思って仲間にした、大切な僕のかるぼな~ら……。
出来損ないのイソギンチャクみたいになった そんなかるぼな~らの姿を見て、僕は決心した。
死にづらい僧侶を目指すんじゃない……僕は、仲間を守れる強い武闘家を目指すんだ!
大切な仲間を失った悲しみを乗り越えて、僕は懸命に修行をこなした。
その成果もあり、武闘家の必殺技『一喝』を体得!
更にレベルも上がり、当初の目的だった『常時最大HP+40』も習得した!
しかし、新たな目標を得た僕にとって、これはもはや通過点に過ぎない。
もう僕を止められる者はいない。
ヤーンの修行も怒濤の勢いで最後までこなし、武闘家の証を獲得した。
その勢いのまま再び雪山へと戻り、かつて大敗を喫したランガーオ村のサブクエのボスにも、かろうじて勝利を収めた。
こうして武闘家のレベルが50になり、僕は『無双の拳士』に成り上がったのだ!
ついにやったよ……亡き かるぼな~らよ……。
僕はやり遂げたんだ……。頑張った……!
武闘家の修行は、これにて一時終幕としよう。
おつかれさま、僕……。
さて、もうパッシブは取り切ったけど、余ったスキルポイントは きあいスキルに降っておこう……。
『ためる弐』をおぼえた!
……あっ!ためる弐だ!
2回ためるだけでスーパーハイテンションになれるって聞いた、便利そうな特技!
やったー!さっそく試そう!
僕は『ためる弐』と、強くなった自分のスーパーハイテンションの破壊力を確かめるために、再びガタラ原野にいるピッキーのもとへと舞い戻った!
以前のスーパーハイテンションで三桁のダメージすら出せなかった自分(12月11日の記事参照)とは違うところを見せてやるっ。
ためる弐!ためる弐!スーパーハイテンション!
おぉぉー!ほんとに2回でスーパーハイテンションになった!
……さあ、覚悟はいいか?
貴様には何の恨みもないが、スーパーハイテンションの力、思い知るがい
ぺちんっ!
かるぼな~らはピッキーをたおした!
み、水差されたーー!!
勝手に殺されたことを根に持っていた かるぼな~らであった……。