「やっほー、相変わらず引きこもってるわねぇ。うっわ、ミカンの皮くさってるし!捨てなさいよ」
今日も家でごろごろしていると、イリアがやってきた。
「だって、めんどくさいんだもん」
「トンはのんびり草花愛でてるし、さっきのぞいたらユキは優雅に編み物してたわよ」
すっかり冒険から遠ざかってしまったアタシたちに、イリアは呆れ顔。
「修行しないととか・・思ってるよ。討伐とか・・・」
「はぁー??カジノが出なくなったからって、引きこもったのはどこのどいつよ」
相変わらず、手厳しい物言いのイリア。ウワサによると、新しく発見されたアクセサリーの最強合成も完成したらしい。
「うるさいなー。わざわざ訪ねてきて何の用?」
とんでくる小言にイライラしてきたので、ぶっきらぼうに訊ねた。
「いやさー・・・ちょっとランにお願いが」
さっきまでのえらそうな態度が一変する。
「お願い?」
「今ね、アストルティアの探究がちょっと低迷してるらしくて・・・
新しく旅を始める冒険者や、旅を再開する冒険者を募ってるらしいの」
「ふーん、それで?」
「その・・・休んでる冒険者に旅を再開させたら、ごほうびがもらえるみたいで・・・」
「ほぉ?」
なんか話が見えてきたぞと思ったけど、だまったまま最後まできいてみる。
「冒険休止期間とか、いろいろ条件があるのよね・・・」
言いにくそうにチラっとこっちを見ると、イリアはくさったミカンの皮を片づけだした。
「あと1か月ほど引きこもっててくんない?」
「・・・・・。
冒険に・・・誘ってくれるわけじゃないのね・・・」
「ゴメン・・・」