「あっつあつのおでん、ほっかほかのブタまんいかがっすか~」
キュララナ海岸を練り歩く。思ったより人がいない。
うーん・・・。全然呼び止められないぞ。
「あつあつおでんいかがですか~。ほかほかブタまんもありますよ~」
砂浜で日光浴をしているイケメンのお兄さんがいたので、近づいてみた。
「あっつあつのおでん、ほっか・・・」
キラーン!シューン!
ルーラストーンで逃げられてしまった・・・。
呼びかけながらだいぶ歩いたけど、まったく売れなかった。
おなかがすいてきたので、砂浜に腰かけて、売れ残りのブタまんをパクつく。
おいしーのにな・・・。
「トンーーー!ごめんねおそくなって」
砂浜でたそがれてると、後ろで声がした。
「イリアさん!」
振り向くと、水着を着たイリアさんがいた。うるわしくて、見とれてしまう。
「ぜんぜん売れなくて・・・」
思わずぼやいてしまう・・・。
「何売ってるの?」
「おでんとブタまんです・・・」
「あついのばっかじゃない!」
「!!!」
「さ、3人で分担して・・・」
「ちなみに、ランは何売ってるの?」
「からあげとヤキソバと・・・ラムネです」
「売れ筋ね・・・」
「!!!」
「げ、元気出して!おでんとブタまんくださいな♪」
モヤモヤしながら、串にささったおでんを取り出し、ブタまんを紙に包んだ。
「どうぞ・・・20Gです」
「おいしー♪このおでん、おつゆ染み込んでるねっ」
おいしそうに食べてくれるイリアさんを見てると、ちょっと元気がわいてきた。
「打ち上げ花火上げるんで、見てってください!」
ドーーーン!パラパラパラ・・・
キュララナ海岸の空に、打ち上げ花火が上がる。
夜空に咲いた色とりどりの花は、うっとりするほどキレイだった。
「少しだけど、手持ち花火持ってきたんだ♪いっしょにやらない?」
「ハイっ!」
おでんとブタまんは、ぜんぜん売れなかったけど・・・
あこがれのイリアさんと花火ができて、しあわせな夜だった。