今日は、ヴェリナードでアストルティア納涼花火大会!
海の家の売り子がんばったから、オイラが行けることになった♪
早く行っていい場所を取ろうと、まだ空が明るいうちから向かう。
ヴェリナード城につくと、もうすでにひとが集まってきていた。
いつもにぎやかだけど、さらに活気づいている。
「えーっと、確か知識の間を上がったバルコニーだったよなぁ」
重たい扉を開けてバルコニーに出ると、花火を見に来たひとでごったがえしていた。
「すっごいひと!す・・・すみません。ちょっと通し・・・」
押されながら、かきわけていく。
背の高いひとたちに囲まれて、空が小さくなっていた。
「これじゃあ、あんまり見えないな。端の方に行こう」
押されてかきわけてなんとか進んでいくうちに、ちょっと気持ち悪くなってきた。
「ふぅー・・・。あ、あのあんまり押さない・・・」
クラッ どさっ
「だいじょうぶですかーー?」
「あ、気づいたみたい」
目が覚めると、浴衣を着たカップルに声をかけられていた。
「お・・オイラ倒れちゃった!?あ、あの!花火は・・・?」
「終わったよー」
「!!!」
周りを見ると、みんな満足そうな笑顔で帰っていく。
「すっごいキレイだったねー♪」
「めちゃくちゃたくさん花火上がってた♪」
「サイコーー!!」
一発も見れなかった・・・。
ひとごみに押されるように、バルコニーを後にする。ふみ出す足に力が入らない。
「そうだ!ヴェリナードのレストランでおいしーもの食べて帰ろう!」
花火は見れなかったけど、せめて!と思って、ちょっと高そうなレストランをのぞいた。
「お客様、おひとりさまですか?ただいま20組待ちです」
「・・・・・」
同じことを考える人が多いらしく、花火大会の帰りの客でどこも満員御礼だった。
「ランとユキ、まだ打ち上げやってるかな」
20組をひとりで待つ気にならなくて、ジュレット住宅村に急いで帰る。
遠くで花火が上がっているのが見えた。
「花火上がってる!」
走って帰ると、ふたりが満足そうに庭で語らっていた。
「お、お肉まだ残ってる?」
「おお、おかえりー。肉?もうないよ」
「そろそろお片付けですわー」
網の上に、カラッカラになった小さな炭のかたまりがあった。肉かどうかも分からない。
ランが、白くなった炭を火箸でつつきながら言う。
「この炭、防具鍛冶の炭と一緒に片づけといてよ。
トン、海の家の片づけしなかったんだから、それくらいいーだろ?」
「う・・・・。うわぁぁぁぁん!」
なんかもう、いろいろイヤになって・・・家に帰ってふて寝した!