「どこにいくの、お姉さま? ひどいじゃない、おいていくなんて」
「もしかして、今さら後悔なんてしちゃってるのかしら。もう遅いわよ…」
「魔障かどうか、試しているの? それなら自分自身が実験台になればいいじゃない」
姉は立ち止まらない。
セラは押し黙ると、一言呟いた。
「変わったのね、お姉さま」
立ち去ろうとする姉に向かい、魔法を放った。
姫主の向かおうとしていた先は、祭壇だ。魔障と成り果てたセラにとっては、いまいましい場所。
「…あぁっ……」%PICID-426459854%
「セ…」
「セラ…ーー」
「………くっ」
%PICID-426460689%「あっはっははっ! 主といえども所詮は魔族! 魔障になんか、勝てるはずがないのよ」
高らかな笑い声が閑散とした回廊に響き渡る。
アーミラは崩れ落ち、やがて動かなくなった。
満足げな顔で辺りを見渡す。
「そうね、まおんお姉さまを落とすのは簡単だし、今日のところはかえるとしましょうか」
そのまま自然に、手をふろうとしてーー
とめた。
右手を一瞥し、横たわる姉を一瞥し、表情の読めない顔をすると、
「…さよなら、お姉さま」
ルーラを唱えとびさった。
あとには、血も流さずに倒れる、姫主の体だけが残っていた。