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グリエの嫁

アーミラ

[アーミラ]

キャラID
: YK103-967
種 族
: エルフ
性 別
: 女
職 業
: 魔法使い
レベル
: 127

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アーミラの冒険日誌

2018-11-26 18:35:12.0 テーマ:おしゃれ活動

【魔界宮殿シリーズ13】「魔界宮殿の貴賓1」

「なっ……。――なんですって…? セラ、…セラ――――」

「そう、それが私たちの失った、かつての妹の名よ。私が毎日、名の知れぬ血族に祈りを捧げていたのは、知っていたでしょう?」

「え、え…、知って、いたわ………でも、まさか、思い出して、再びその名を口にする日がこようとは、全く、私――」

「ああ、かわいそうなまおん……。私も同じ気持ちよ、落ち着いて。取り乱しては駄目よ」

「……アーミラ、私たち、記憶を」

「ええ…そう。”あの方”に記憶を封じられていたのだわ。未だに名以外のことは思い出せない。でも、大事なことはそこではないのよ」

「…そうね。重要なポイントは、そのセラにあなたが襲われたってこと――」




 ひょこ。

 ここは魔界宮殿。双角の姫主、アーミラとまおんの居城であり、記憶を封じられた少年サキアと、まだまだ逃げ出す気満々の少女雪の、現在の家でもある。
 今、まさにその安寧の日々が侵されそうになり、姫主が思案に暮れていたのだ。

 そんな二人の様子を柱からうかがうのは、最近ちょっと姫主のことを好きになり始めていて複雑な雪である。

「うーん…」

「雪…なにか、聞こえた?」
「いーや、全然っ!」

 この宮殿は随分と広い。おかげで二人のかくれんぼは順調で、もちろん盗聴、秘密、謀り事も十分にできる。

「でも、まおんもアーミラも、強いから…。きっと何かあっても、大丈夫だよ」

 言っているそばから不安そうな表情を浮かべるが、これは記憶に欠け、少々精神年齢が後退したためであり、いつものことだ。

「ま、そーだよねー」
「…ときにサキア君。」
「うん?」

「これは、チャンス…だよね?」

 二人は顔を見合わせて、にっこりと笑った。声を大きくしないように、抑えて明るい声を出す。


「「『姫主さまたちの慰労パーティー』!!」」


 この二人が、少し前から考えていたサプライズである。

 元々彼らは、姫主たちが退屈しないための遊び相手としてひきとめられて…もとい、強制永住させられているのだ。日々の精神的くつろぎとして、役に立っているのは言うまでもあるまい。
 だからといって仕事がないわけではない。
 この辺境の広大な領地を一任されているのだから、仕事は大量にあるはずなのだ。

 二人はそんなアーミラとまおんを労わるため、ささやかな宴会を開こうとしていた。


「じゃあ、使い魔さんたちにも協力してもらって、準備、しよう…?」

「そだねっ、サキア!」










(…ってのはもちろん口実)

 雪は内心ほくそ笑む。

(買い出しに行くと偽って、遠くの町まで行ったら、そのまま逃げだしてやるんだから!)

 ここに来てから――。ふた月、み月、もしかしたらもっと経ったかもしれない。アーミラが復活してからはだいぶ経ったように思う。

 これはかなり前から温め続けてきた逃走計画だったが、いざ決行を前にして、決意がにぶっているのを、雪は感じていた。

(…ひるんじゃダメだ。私は、家族のところに帰るんだから――)

 家族。
 近親相姦の末の出産。離婚。再婚。旦那の陰湿な、義理の娘へのいじめを見逃して。毎日娯楽にふけり。
 これが実の母のすべて。

 ――果てには受験に落っこちて、魔界なんかに来ちゃって

 家族。
 いつでも一緒にいて、寂しいといえば一緒に寝て、ご飯を一緒に食べて。偉いわ、と頭をなでてくれて。ありがとう、と抱きしめてくれて。

 家族。

(私の、家族、は――)


 雪はハッとして、頭を振った。

「…魔界なんて、ダメに決まってる。早く帰んないと」

 カゾクの、元に。
































カツン、カツン――




カツン、カ ツ ン ――――――――――――――












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