先日のDQXTVでは、青山さんによるプロデューサー夜話のコーナーがあった。
ジェム課金を増やしていく、というような興味深い話が続いたんだけど、一番心に響いたのは、そのコーナーの終わりの安西先生の話だった。
青山さんがプロデューサーになったころ、青山さんと安西先生が話をしたのだという。
「バージョン5が終わった後、ドラクエ10をどうしていくか」
「青山さんがいくつかの選択肢を出し、(安西先生は)できるだけ今の規模で、できるだけ長く続けていきたいと答えた」と。
いくつかの選択肢とは、こんな感じじゃないかと想像する。
ひとつ目の道は、バージョン5が終わった後、きっぱりサービスを終了する道。
ふたつ目の道は、開発規模を大幅に縮小し、新規ストーリーは無しで、季節イベント等時々追加。赤字になるギリギリまで続けてサービス終了。
みっつ目の道は、現在の規模を維持し、できるだけ長く続けていこうとする道。
ひとつ目の道はわかりやすい。
オフラインゲームと同じように「fin」と出て完結するゲームクリアの状態。
寂しさもある一方、だらだら続けるよりいい印象を残せるし、黒字のまま終えることができる。
ふたつ目の道は軟着陸の道。
新規ストーリーがないことで人は離れていくだろうけど、開発を縮小しているから赤字にもなりづらい。
長く残ってくれる人は少なからずいるだろうし、その人たちのためにも続けていける道。
みっつ目の道は、どうなるかはわからない、一番険しい道。
開発を続けていっても飽きられるかもしれない。
課金要素を増やすことで逆に人が離れていくかもしれない。
宣伝したのに人が増えないかもしれない。
がんばっても赤字になるかもしれない、不安定な道。
青山さんたちが選んだのは、みっつ目の道。
そうこなくっちゃ、と思う。さすが冒険者だ、と。
青山さんは、我々プレイヤーのことを冒険者だと言っていたけれど、青山さんたちだって冒険者に違いない。
今までのドラクエを越える、新しいものに挑戦し続けている運営が、冒険者じゃなくてなんなのか。
冒険者は、みっつ目の道を選ばなくてはいけない、というより、この道を選ぶのが冒険者と呼ばれるのだろう。
危「険」を「冒」すのが冒険者なのだから。
何のために、って?
冒険者であることを止め、他の道を選ぶこともできるのでは、って?
もちろん他の道を選ぶことだってできる。でもそうしなかったのは……それは、それはね、我々のためだよ。
今楽しんでいて、これからも楽しみたいと思っている、我々プレイヤーのため。
青山さんたちが、よーすぴの描いた地図の先、新しい冒険に出ることを決めたのは、これからも我々プレイヤーに楽しんで欲しいと、そう思ってくれたからだよ。
この冒険は、運営だけでは為しえなくて、我々プレイヤーも必要とされている。
だから両者は、共に手を取り旅立つ冒険者。
もちろん運営には他にも色々な理由があると思う。
我々も、ストーリーや強敵への勝利、フレンドとの交流など、それぞれ少しずつ違う楽しみを求めてアストルティアに立っている。
運営も我々も、小さく見れば目指すものは人それぞれだけど、もし、大きな意味で「なぜ冒険を?」と問われたら、象徴としてこう答えるのがぴったりだと思っている。
「ドラゴンを追いかけている」と。
「ドラゴン」を「追い求める」のが、ドラゴンクエストなのだから。
この先、ドラゴンがどこへ行き、何を食べ、何に涙しどこで眠るのか。
それは誰にもわからない。
わからないから不安、だけど、不安の中に(あるいは不安を感じずとも)わずかでもわくわくする想いを感じたのなら、それはもう立派な冒険者の証。
ドラゴンの行方を追う冒険の旅へ、さぁご一緒に。