またしてもじーんと来てしまった話をご紹介。
あらすじしてないあらすじをば。
書き込み主は男性、妻子持ちで実家に帰った際の話。
以降、彼のことを「俺」という表記に統一する。
「俺」は妻子と共に田舎の実家に帰省していた。
子供たちも嫁も田舎を満喫し、早々にすっかり眠ってしまい、
居間で父親と二人きりになった。
父は無口で温和な性格なんだが、よほど期限がよく見え、
好きな柄の日本酒を嗜み、杯を勧めてきた。
「よく帰ってきたな」
なんてぽつぽつと話を振ってくる父。こそばゆい感情を覚えながらも相槌を打っていると、
ふと父親は満面の笑みを浮かべながらこう切り出した。
「いい嫁さんを連れてきたな。お前は人を見る目があるよ」
「俺」は照れながら、そうかなと返すと、
「次男が、『僕はじーちゃんに似てるってかーちゃんに言われた』と言っててな」
どうやら、親父と次男が話をしていたらしい。
次男は、ほかのきょうだいと比べると、「俺」にも嫁にも似ていないと
よく周りから言われる、と嫁に当たっていたことがあった。
実際どちらにも似ていなかったんだが、親父の顔に確かに似ている。
じーちゃんに似てる。
その言葉が嬉しかったのだろう、親父は次男との会話を教えてくれた。
「次男がわしに似てることを喜んで話してくれてわしは嬉しかった。何度もわしのことを褒めてくれるんだ。
『じーちゃんはトマトもとうもろこしも、お米だって作れるんだ。総理大臣にもできないよ!』とな。
わしは嬉しかった。野菜をあげて喜んでくれる人はいるが、褒めてくれるひとはようおらん。
この年になって褒められるだなんて、嬉しいなぁ」
グイグイ酒を飲みながら嬉しそうに語る父。
なんと言っていいのかわからず、
「よかったな、親父」と上から目線で返してしまったが、父は
「うん、な、わし総理大臣より偉い。」
本当にうれしそうに微笑んでいた。
この家族をぼくは尊敬したい。
言いようのない充足感が…