ゼツカの冒険日誌

辺りは静まり返っていた。




何故だろうか…。




どうでもいいか…そんなことは…。



…。



どこから間違っていたのだろう…。



どこから間違ってしまったのだろう…。






常闇の竜・レグナードと
対峙した時からか…？



あの戦いは激しかったな…。



だが



あの時の心の高ぶり



あの張りつめた空気



…。



そんなことはどうでもいいか…。



いずれこの記憶も…。



…。







お母さんと荒野を駆けたのは
楽しかったな。



早かったし。



唯一風を斬る感覚を味わえた。



大好きな時間だったな…。



…。



またお母さんの背中に乗って…。



…。



どうでもいいか…。



もう乗れないし…。






死んじゃったからな…。



殺されてしまった…。



だから私もお母さんを
殺したやつらを皆殺しにした…。



すごく辛かったな…。



一人で背負うには
荷が重かった…。



…。



もしかしてこの時からか…？






いや、それとも…



ドレフルアと出会った時からか？



あいつはかっこつけしいで
そのわりに気さくなやつだったな。



…。



全て…。



全て間違っていたのかもしれないな…。



…。



どうでもいいか…。



どうせ全て無くなる。



これから起こることは



悲しみしか生まないのだから…。



だけど…。



これでよかったんだよね…。



お母さん…。



…。



私は…人でも魔物でもない…。



私は…。



なんだ…？



あぁ…。



バケモノか…。



そうだった…。



私はバケモノだったな…。



バケモノはこの世にいちゃいけないんだ…。



バケモノは生きてちゃいけないんだ…。



…。



そろそろか…。



私を壊しにくるか…。



…。



どうするかな…。



…。



ふっ…。



答えなんて…。



もう出てるんだけどな…。




常闇に飲まれて
自我をなくす前に

かつて仲間と呼び

愛した者達との絆を
断ち切るため

ゼツカが戦いの場に選んだのは
ラッカランに存在するコロシアムだった。

常闇の力で空間をねじ曲げれた
闇のコロシアム。

その中央にただ一人

過去の記憶を
振り返るゼツカの姿があった。

そしてその騒ぎを聞きつけ
かつての仲間達が近づいてくる気配を
ゼツカは感じ取っていた。




～つづく～