ゼツカの冒険日誌

ナドラガンドのとある泉。



私は物思いにふけっていた。



これまでに色々な戦いがあり
出会いがあり、別れがあった



飛び抜けて激しかったのが
あの常闇の事件であったと
今でも思う。



しかし



力が強さではなく



涙が弱さではない事を



私は学んだ。



真の強さとは



心の強さ



絆の強さであると。



その強さを手にした代償なのか
あの《不知火》の代償なのかは
わからないが



私は魔物の声が聞こえなくなった。



意思を感じとることはできるが



前ほど鮮明に聞こえることは
なくなってしまった。



それが悲しくもあり
嬉しくもあった。






私はまだまだ弱い。



しかし強くならねばならない。



マルチナを、娘を守るため。



仲間を守るため。



彼らは私を命を賭けて
止めようと



救おうとしてくれた。



感謝しても仕切れない。



だから私は一人知れず
誓おうと思う。



この先どんなに辛いことがあっても
どんなに悲しいことが起こっても



私は仲間のために
命を賭けると。



それが《大いなる闇》から
世界を守る手段になると信じて。






《大いなる闇》
で思いだした事がある。



ドレフルアは生きていた。



レグナードにやられたのは
事実のようだが



生き返しの法を女神から受け
よく似た名前と性格の青年に
入ったらしい。



それがアルフレドだったのだ。



なんとなくそんな気はしていたから
あまり驚かなかったが…。



常闇の王を倒し
皆から慰めてもらっている時に
ドレフ…アルフレドは
私にこう言ったのを覚えている。


アルフレド
「ぜっちゃ…ゼツカには
俺と契約を交わしたばっかりに
たくさん辛い思いをさせてしまった…
申し訳ない…」

ゼツカ
「呼びにくいならぜっちゃんでいいわよ
それに、そんな昔の事は忘れたわ」

アルフレド
「ありがとう…」

ゼツカ
「お礼を言うのはこっちよ
最終形態になったときに
私を怒鳴ってくれなかったら
どうなってたかわからないし…」

アルフレド
「バルが言ってたんだよ
ぜっちゃんは自分でブレーキを
壊すとこがあるって」

ゼツカ
「あのちょんまげ野郎…」

アルフレド
「だから俺がぶつかって
止めなきゃって…そう思ったんだ」

ゼツカ
「ありがとね、おかげで
この通り無事に戻れたわ」

マルチナ
「まだなのお母…ぜっちゃん」

ゼツカ
「あんたも呼びにくいなら
ぜっちゃんでいいから…
素直に呼べるときにお母さんて
呼びなさい」

マルチナ
「はぁい！」

アルフレド
「でもマルチナの言う通りだよ
《大いなる闇》そのものとの
戦いはまだ終わってない…
ナドラガンドの闇の領界や
水の領界にも大きな波動を
感じるからね」

ゼツカ
「ちょっとは休ませてほしいわね」

アルフレド
「だから、せめてもの償いに
これからは一人の《仲間》として
ぜっちゃんをサポートして
いこうと思う」

ゼツカ
「頼りにしてるわよ」

アルフレド
「うん、よろしくよ」

マルチナ
「マルチナのほうが
アルさんより役に立つの！」

アルフレド
「マルチナバカだから
役に立たない」

ゼツカ
「二人ともやめなさい
さ、さっさと帰って休みましょう」

マルチナ
「マルチナが膝枕してあげるの！」

アルフレド
「マルチナ足短いから無理」



ゼツカ
「…はぁw」



～つづく～