ゼツカの冒険日誌

バルドーソ
「…で？」


アルフレド
「なんでそんな事になったの？」


ちゃんぷ～
「後先考えてない証拠ゆ～」


ゼツカ
「す、すいません…
ちょっと頭に血が昇りまして…」


バルドーソ
「あ？よく聞こえねぇんだが？」


ゼツカ
「…くっ」



集っていたのは
かつてゼツカと共に
常闇の竜・レグナードを討伐した
３人の英雄であった。



《癒しの貴公子》アルフレド



《賢王》バルドーソ



《眠り姫》ちゃんぷ～



疾風の騎士団との同盟を
その場の怒りにまかせて
破棄してしまったゼツカは
この３人に力を貸してほしいと
呼び出したのであった。





バルドーソ
「ようするにあれか？
バカだから頭に血が昇って
後先考えずに勢いで同盟破棄して
どうしょもなくなって
俺らを読んだと？」


ゼツカ
「そ、そんなとこです…はい…」


アルフレド
「…はぁ」


バルドーソ
「バカすぎた」


ゼツカ
「バカバカ言うんじゃないよ！」


アルフレド
「まぁまぁバル
もうこうなっちゃったんだし
今更どうしようもないよ」


バルドーソ
「アルは甘いんだよ
こんなバカはほっときゃいいんだ」


アルフレド
「言い過ぎたよバル
それにね、ぜっちゃんはね
バカじゃないよ」


ゼツカ
「アル…」


アルフレド
「ぜっちゃんはね、アホなの
バカじゃないの、アホなの」




バルドーソ
「アホすぎた」


ちゃんぷ～
「アホゆ～」


アルフレド
「ぜっちゃんほんとアホ」


ゼツカ
「うるさいんだよ！
私はアホじゃねぇわ！」


ゼツカ
「…我慢ならなかったんだ…」


バルドーソ
「？」


ちゃんぷ～
「Ｚｚ…」


ゼツカ
「許せなかったんだよ…この世界が…」


アルフレド
「…」


ゼツカ
「やれ英雄だ、やれ勇者だって
そんな者を待ってるだけで
平和が保たれると思うか？！」


ゼツカ
「終いにはピンチになったから
マルチナを使って驚異を止める
とか言い出しやがった」


ゼツカ
「あの子は《物》じゃない！
《使う》ってなんだよ？！」


ゼツカ
「なんで誰もこの世界の有り様に
異議申し立てをしないんだ？！」


アルフレド
「…」


バルドーソ
「そりゃお前に戦う力があるからさ」


ゼツカ
「…」


バルドーソ
「力がない者には
戦えない、戦わない理由がある
それを理解してやれよ」


ゼツカ
「ただ平和を待つだけの奴等を
守るなんて真っ平ごめんだ」


アルフレド
「…英雄とは思えないセリフだね」


ゼツカ
「私は英雄じゃない…
かつて多くの人を殺し…
あまつさえ仲間にすら牙を
剥いた事がある…」


バルドーソ
「…」


アルフレド
「…」


ゼツカ
「でも示したいんだ…力を…
平和を人任せにする人々に…」


ゼツカ
「自らの足で立ちあがり
生きて戦う思いの強さを…」


ゼツカ
「そして何よりも…」


ちゃんぷ～
「マルチナゆ…？」


ゼツカ
「…」


アルフレド
「やれやれ、結局そこじゃない」


ちゃんぷ～
「親バカ…あ、親アホゆ～」


アルフレド
「まぁでも、要するに
鼓舞したいわけね？
立ち上がる勇気を
で、マルチナも守りたいと」


バルドーソ
「…ちっ」


するとバルドーソが
手の甲を前に出す。


ゼツカ
「？」


バルドーソ
「…不思議そうな顔してんじゃねぇ」


ゼツカ
「？」


アルフレド
「…協力してくれるってさ」


ちゃんぷ～
「ゆ～」


ゼツカ
「あんた達…」


アルフレド
「だからほら、心をひとつにする
ためにもさ、ね？わかるでしょ？」


ゼツカ
「…」



ゼツカがそれを察すると
皆が手を前に出し
手の甲を重ね合わせた。






ゼツカ
「…」


アルフレド
「ほら、ぜっちゃん…」


ゼツカ
「私は…」


ゼツカ
「いや…我らは…我々は…」








ゼツカ
「『反逆の騎士団』！！」











ゼツカ
「我々は示す！力を！」



ゼツカ
「英雄を待つだけの力無き者達に！！」



ゼツカ
「そして奮い起こさせてやろう！！」



ゼツカ
「自らの力で平和を築き上げる力を！！」



ゼツカ
「平和のために戦う力を！！」



ゼツカ
「そして思い知らせてやろう！！」



ゼツカ
「傍観し続ける堕落したこの世界に！！」



ゼツカ
「我々はこの世界の有り様に
抗い続ける！！」



ゼツカ
「我々は…」






ゼツカ
「この世界に反逆する！！」






～つづく～