ゼツカの冒険日誌

時を同じくして
ゼツカとスライダークも
一触即発の状況になっていた。


ゼツカ
「…:おいお前…その話しは本当か…？」


スライダーク
「…これから消え行く者に
作り話をすると思うか…？」


ゼツカ
「…その一族…《光蜂》だろう…？」


スライダーク
「！」


ゼツカ
「住んでいた場所は《モリナラ大森林》そうだろう…？」


スライダーク
「…な」


ゼツカ
「やはりな…」


スライダーク
「…なぜ貴様がそれを知っている？」


ゼツカ
「知ってて当然だ…」


怒りでぶるぶると震えるゼツカ。






ゼツカ
「逃がした者の名…マルチナといったな？」


スライダーク
「そうだ…」


ゼツカ
「だからあそこにいたんだな…お前から逃げて…一人で…」


スライダーク
「…？」


ゼツカ
「マルチナは…私の娘だ！！」


スライダーク
「…なんだと？」


ゼツカ
「お前から逃げた後も、あの子は
あの森を守るために
多くの魔物や動物を助けていたんだ！
そんなあの子を私は娘として迎え入れた！」


スライダーク
「…なんという因果が…」


ゼツカ
「許さない…私はお前を絶対に許さない…
死んでもお前をぶっ殺す！！」


スライダーク
「戯れ言を…貴様はもう死んでいるのだぞ…」


ゼツカ
「くっ…」


スライダーク
「…そして貴様は考え違いをしている…」


ゼツカ
「…なに？」


スライダーク
「消す前に１つだけ教えておいてやる」


ゼツカ
「…？」






スライダーク
「《死ねば誰も守れない》」



ゼツカ
「…！」



スライダーク
「死んでも倒す…死んでも守る…
滑稽の極みである！
生きているからこそ…誰かを
その手で守ることができるのだ…
死ねば何も守れぬ、救えぬ…
死ねば変えれぬのだ！」



スライダーク
「生を…死を…軽んじるな！！」



ゼツカ
「…」



スライダーク
「故に貴様はここに来たのだ…
力強き故…何も恐れぬ故…浅はか故…」



ゼツカ
「く…」



スライダーク
「問答は最早これまでぞ…」



スライダークが剣を構える。



その時であった。



ゼツカ耳に聞き慣れた
そして愛おしい声が響いた。



～つづく～