ゼツカの冒険日誌

ゼツカ
「マルチナ？クロ？」


マルチナ
「うん？」


クロ
「ガウッ？」


ゼツカ
「…今のうちに言っておく…
この力は長くは持たないし
この力の反動で何が起こるかも
わからない」


マルチナ
「…うん」


クロ
「…」






ゼツカ
「おそらく…あの魔元帥ゲルニックは
私が倒れたとなれば、マルチナ
あんたを手に入れる入れないに関わらず
近々このアストルティアに戦を
仕掛けてくるはず…」


マルチナ
「…」


ゼツカ
「私にもしもの事があったら…」


マルチナ
「や」


クロ
「ガウッ！」


ゼツカ
「…聞き分けなさい」


マルチナ
「や！約束しなさい！」


ゼツカ
「何を？」


マルチナ
「もしもとかもしかしたらとか
どうでもいいの！
マルチナにはお母さんが必要なの！」


ゼツカ
「…あんた」


マルチナ
「だから何があっても
帰ってきなさい！」


ゼツカ
「…ふ、やれやれ…」






マルチナ
「約束でしょ！ゆびきりげんまん
するの！クロちゃんも！」


クロ
「ガウッ！」


ゼツカ
「…はいはいw」




二人と一匹は
小指を出した。




ゼツカ
「ゆーびきーりげーんまん
うっそつーいたーらはーり
せーんぼーんのーます」

マルチナ
「ゆーびきーりげーんまん
うっそつーいたーらはーり
せーんぼーんなーげる！！」

クロ
「ガッウガウガウッガッガウッガウッ」



ゼツカ・マルチナ
「ゆーびきーった！」
クロ
「ガーーーウッ」



ゼツカ
「さぁ、始めるよ！」



ゼツカ
「作戦は簡単だ！
ゾラの攻撃は大振りで荒い！
向こうの攻撃を避けろ！
攻撃を連発させて
疲弊しきったとこを叩く！」



マルチナ
「はぁい！」


クロ
「グァウッ！」




ゼツカ達は回避を最優先に
ゼツカとクロが前線に



マルチナは後方から
ゼツカとクロのサポートに回る。



かろうじて意識のあるゾラは
なんとか呑まれそうな意識を保ちつつ
激しくゼツカ達を攻撃する。











しばしの時が流れ










その時は訪れる。









ゼツカの読み通り
大振りな攻撃を連発したゾラに
疲れの色が見えはじめた！







ゼツカ
「マルチナ！今よ！！」


マルチナ
「はぁい！」


ゼツカ
「クロ！マルチナが吹き飛ばないよう
身体で支えてあげて！」


クロ
「ガウッ！」


マルチナは両手を前にだし
ゾラに向かって光を放つ。


まるでそれは勇者姫が放つ




『勇者の光』のようであった。




この光を浴びたゾラは
一瞬動けなくなった！




ゼツカ
「終わらせるよ…ゾラ！！」


軋む身体の悲鳴に耐えながら
ゾラに語りかけるゼツカ


しかしこの時には最早
ゾラの意識はほとんど
無くなっていた。


ゼツカ
「この一撃にすべてを賭ける…
もってね…私の身体…！」


ゼツカは片手を前に出し
内に宿す光の力


その全てを引き出し
魔障の浄化にかかる


ゼツカ
「…私一人の力なんてたかが知れてる…
だけど…私を支えてくれる仲間がいる…
マルチナがいる、クロがいる…
そして…あんたがいる…
私は…そんなあんた達を守りたい…
守りたいんだ！！」


ゼツカの身体中の骨が軋みだす！


ゼツカ
「この『願い』この『思い』の力は…
激流となって…あらゆる闇を
吹き飛ばす！！！！！！！」



キュィィィイイイイン！



さらに力を込めるゼツカ！



闇の力と光の力が混ざり合う！



その力の反動により
ゼツカの身体中の骨に亀裂が入る！



ゼツカ
「まだだ…！！！堪えろ！！！
私の身体！！！」



身体のあちこちが裂け
鮮血が吹き出た！



ゼツカ
「光も！！闇も！！！愛も！！！！
全てを纏った私の…何者にも侵す事の
できない思い…あんたを救いたいという
この願い…受けとれ！ゾラ！」




ゼツカ
「この思い(DESIRE)を！！！」







キュィィィイイイイン！！




光がゾラの闇を吹き飛ばす！




ゾラ
「ぐあああぁぁぁぁ！！！！！」




ゾラの姿がみるみるうちに
元に戻っていく！




キュィィィイイイイン…！！







技を放ち終わったか終わってないか







ゼツカは力尽き
身体を真っ赤に染めながら
そのままその場に倒れ込んだ。








～つづく～