引き続き引用
PCR検査の本当
医療関係者は、もうすでに感染のストレスの中で連日戦っていま
す。その中で、PCR検査を何が何でも数多くするべきだという人
がいます。しかしながら、新型コロナウイルスの PCR 検査の感度は
高くて70%程度です。つまり、30%以上の人は感染しているのに
「陰性」と判定され、「偽陰性」となります。検査をすり抜けた感
染者が必ずいることを、決して忘れないでください。
インフルエンザに比べて1/100~1/1000といわれるウ
イルスの少なさは、検査結果の判定を難しくしています。とくに早
い段階でのPCR検査や治癒過程(10日以降)でのは、決して万
能ではないことを理解してください。
治ったと思っても再び陽性となる人もいます。それは前にも述べ
ましたが陰性と判断しても、ウイルスの量が少ないため誤って陰性
という判断をしてしまう危険性があるのです。複数回検査しても、
陰性になってしまう偽陰性の患者さんが出てきてしまうのです。そ
して、体調によって症状が再び出現して再燃、つまり症状が出てし
まう可能性があるのです。
さっさとドライブスルー方式の検査をすればよいという人がいま
す。その手技の途中で、手袋やPPE(防護服・予防衣)を一つひとつ
交換しているのでしょうか。もし複数の患者さんへ対応すると、二
次感染の可能性も考えなければなりません。
正確で次の検査の人に二次感染の危険性が及ばないようにするに
は、一人の患者さんの検査が終わったら、すべてのマスク・ゴーグ
ル・PPE(防護服・予防衣)などを、検査した本人も慎重に外側
を触れないように脱いで、破棄処分しなければなりません。
マスク・PPE(防護服・予防衣)など必須装備が絶対的に不足する
中、どうすればよいのでしょうか。次の患者さんに感染させないよ
うにするために、消毒や交換のため、30 分以上 1 時間近く必要と
なります。
テレビなどのメディアに登場する人は、本当のPCR検査の実情
を知っているのでしょうか。そして、専門家という人は実際にやっ
たことがあるのでしょうか。
医療機関の現状
今後感染のスピードが上がると、重症例も当然増えてきます。もし
何百人もの感染者が同時に出れば、その人たちを病院で治療しなけれ
ばいけません。医療機関のベッドは、またたく間に埋まってしまいま
す。
それでも心筋梗塞や脳梗塞やがんなどの患者さんに対しては、いつ
ものように対応しなければなりません。今までと同じように医療は維
持しなければならないのです。そのためには病院の機能分化、コロナ
感染患者を専門に見る中核病院が必要となります。
軽症の人は、自宅や宿泊施設、現在休眠中の病院、病床などに移っ
て静養や療養してもらい、少しでも新型コロナ感染症の人のために、
病院のベッドを空けるなどの素早い行動が必要です。そして、新型コ
ロナ感染者の治療が終わり、社会復帰しても良いというときこそ、素
早くPCR検査をやって確認し、ベッドを開けなければなりません。
そのためにも、少しでも時間が必要なのです。医療機関に時間をく
ださい。コロナ感染者の増加を、少しでも緩やかなカーブにしなけれ
ば、医療は崩壊します。
医療機関への偏見や差別
皆さんは、咳をしたり、熱が出ていたりする人が近くにいたら、き
っと嫌な顔をして、文句を言うか、離れていくことでしょう。今この
時も医療関係者は、コロナ感染の恐怖の中で戦っています。戦ってい
る医療機関の医師や看護師や事務職員にも、子供や孫、そして親はい
ます。その愛する人たちに、うつすかもしれないという恐怖の内で、
医療職という使命の中で戦っています。そして自分の子供が、バイキ
ンと言われ、いじめにあうかもしれないという、悲しみとも戦ってい
ます。
市中の診療所ならば、医師自身が罹ったら、当然一定期間休診にす
るばかりでなく、診療所のすべてのスタッフやその家族の心配もしな
ければなりません。そして、自分の家族そのものに危害が及ぶことに
なります。実際に病院の中で重症の患者さんの治療を毎日繰り返し治
療にあたり、家に帰っても人工呼吸器の音が耳から離れず、懸命にし
て立ち向かっている医師や看護師の人たちのことを想像してください。
そんな恐怖といら立ちと、そしてストレスの毎日の中で生活してい
ます。わかってください。知ってください。理解してください。感染
が拡大すれば、誰もが感染者になります。そのとき、偏見や差別を受
けたらどんな思いをするのか、一人ひとりが賢明に考えて、不確かな
情報に惑わされて。人を決して傷つけないように、正しい情報に基づ
いた冷静な行動をするようにしてほしいのです。