前2つに続きかながわコロナ通信コピペ
医療崩壊すると何が起こるの?本当の意味は
感染症は人類にとって本能的な恐怖であるといえます。感染症の流
行をきっかけに歴史が大きく変わったり、文化が変わったりしてきま
した。ですから『正しく理解する』ことで、感染症の恐怖をゼロにす
ることはできません。しかし『正しく理解する』ことで、『うつさな
い』『うつらない』可能性を減らすことができます。
さらに聞きなれない横文字の言葉が突然飛び交うようになり我々の
恐怖心を煽っています。『クラスター』『オーバーシュート』『ロッ
クダウン』などです。東日本大震災の際も『メルトダウン』『ベクレ
ル』『シーベルト』などの言葉に恐怖や不安を覚えた方も多いでしょ
う。
中国に端を発したこの感染症は 3 月に入って世界中で大流行『パン
デミック』の状態となりました。イタリアをはじめとした欧米諸国で
は『医療崩壊』が現実に起こっています。そして 4 月に入って日本で
も、感染者数が急増し『医療崩壊』の危機が声高に叫ばれています。
『医療崩壊を起こさないために』『医療機関を医療崩壊から守るため
に』と毎日のニュースから聞こえてきます。そして 4 月 7 日安倍総理
から緊急事態宣言が発出され神奈川県も対象地域となりました。
『医療崩壊』・・穏やかな言葉ではありません。では医療崩壊とはい
ったい何が崩壊してしまうのでしょうか?
まず新型コロナウイルス感染症の現時点(4 月 8 日)での特徴を列挙
します。
① 無症状・軽症者が 80% 感染していることに気づかない人も多い
② 重症化する人が 10%前後、亡くなる人が 1~2%程度いる
③ 経過が長い⇒感染してから発症するまで 2 週間前後
発症してから重症化するまで 1 週間前後
軽快して退院するまで(重症者の場合) 2 か月程度
④ まだない⇒迅速な検査方法が無い 結果判明まで 1 日前後
治療法が確立していない
ワクチンが無い
⑤ 指定感染症 法律上は原則として入院隔離が必要
以上のような特徴を持つ新型コロナウイルス感染症の患者が増えて
いくとどのようなことが起こるでしょうか?
❶陽性が判明した順に、重症度と関係なく入院ベッドが埋まっていく
❷短期間で感染者が急激に増加すると、どこで感染したか追跡するこ
とができなくなる
❸感染している事がわからない患者が医療機関を受診することで、
医療機関で感染者が広がってしまう
❹感染者が出た医療機関では、安全が確認できるまで診療を停止する
(入院、外来、救急などの医療提供を縮小する)
つまり、❶でベッドが埋まってしまうという現象と、❷~❹で医療提
供が縮小するという現象が同時に起こってしまうことになります。
そうならないように、陽性であっても無症状や軽症な方には自宅や
ホテルなどで経過を観察するように方針を変えたり、直ちに命に影響
しない不急の医療行為を延長したりという事を我々も始めています。
新型コロナウイルス感染症の患者さんを一人でも多く助けるために
我々は頑張っていますが、患者さんが病院の廊下に溢れかえる外国の
ような状態になってしまえば、年齢や持病の有無などで高度医療の提
供を断念する、命の選択を行わなければならなくなります。
しかし医療崩壊で最も避けなければならないことは、今まで当たり
前に行われていた地域での医療提供が受けられなくなることです。
交通事故にあった時、心臓発作を起こした時、医療が崩壊している
と救命することが出来なくなります。
つまり感染者が増えれば増えるほど、新型コロナウイルス感染で命
を落とす患者さんが増えるだけでなく、いつもであれば助かるはずだ
った患者さんも命を落とすのです。
医療崩壊を防ぐためには、とにかく感染者を増やさないことにつき
ます。県民の皆様にお願いしたいことがございます。
・正しく理解し行動する 『うつさない』『うつらない』
・医療機関を受診する前に、必ず電話をかけてください
人類はこれまでも感染症を何度も克服してきました。長い戦いにな
るかもしれませんが、必ず勝てます。最も怖いことは感染の恐怖から、
不安や不満が蓄積し、不当な差別や、不毛な対立が生まれてしまうこ
とです。誰が悪いわけではありません。敵はただ一つ、目には見えま
せんがはっきりしています。
神奈川県医師会は一丸となって戦っています。ぜひ、一緒に困難を
のりこえていきましょう!
以上、引用終わります。無粋な補足は何もいらないかと存じます。
最前線の皆さまに最大限の敬意を。そして我々も共に戦いましょう!