ひろりん～の冒険日誌

アスラン達が上層階で奮闘している間、一階のエントランスホールでも壮絶な戦いが繰り広げられていた

ＭＰの供給源である、まなひよの残り飲み薬は３０個
このペースでは限界がある

それに精神的にも疲労の色が見られてきた


このままでは危険だ
最悪全滅してしまう


だが、アスラン達の為にも下界に生きる全ての生命の為にも、
戦わなければならない

そう決心して、ひろりん～がマヒャドを撃ち出そうとしたその時！


ただならぬ殺気と闘牙に満ちた人物が正面のエスカレーターから颯爽と降りてきた



兵士１「こ、これはプルート総帥っ！」
兵士２「なりません！この様な危ない所にいらっしゃってはっ！」


ここの総帥プルートーは、禍々しい漆黒のローブを着用しており、武器は見当たらない

総帥、つまりここの一番偉い人だ
言い換えればこのクエストのラスボス、と言った所か


アーシェ「私が殺る！」
エルフの賢者は、総帥に武器を構え、あろう事かその矢を放ってしまった

こいつに攻撃は通じない


プルート総帥は迫り来る矢に目もくれず、機械のように口にした

プルート「system alert target chenge」


まなっち「システム、アラート？」

その、たった一言の、何の魔力も持たない発言によって、世界がゆがんだ


突如アーシェの放った弓矢が総帥に当たる直前に文字化けのようのエフェクトと共に
いきなりカイルの正面に出現する！

カイル「ぐぁっ！」


弓矢は、カカイルの右胸に命中する
鮮血が鎧の隙間から迸る

即座にペリがべホイミをキャスト
その癒しの輝きが、カイルを癒す


はずだった



プルート「the change that is targeted for recovery」

その癒しの輝きはカイルではなく、ショイチと戦っていた敵兵の傷を癒した


ショイチ「何やってるんだよペリっ！」
兵士３「しめたっ！」

予想外の出来事に反応が遅れ、その帯剣の一降りを受ける！

ひろりん～「な、何っ」


ひろりん～は、分からなかった
あの英語、あれは何だ？

和訳して見ると、それは驚愕の真実だった


「攻撃対象変更」「回復対象変更」


つまり、アーシェの攻撃対象とペリの回復対象を変更したと言うことだ

そんなのラム以上のチートだ
回復も攻撃も全く出来ないではないか！


慌てたまなひよが「世界樹の雫」を使用
だが、それも間違いだった



また、あの一言が対象を変更する！
プルート「target all excange」



味方を癒すはずの世界樹の雫は、敵兵の全員に降り注ぎ、体力を全回復させる！

まなっち「嘘･･･で･･･しょ･･･」
ショイチ「無理ゲー･･･だろっ･･･」


今まで頑張ってダメージを与え続けた敵達が一瞬で全回復
さすがに無理だった
不可能だ。無理だ。非情だ。鬼畜だ。理不尽だ。


プルートは余裕の笑みを浮かべて部下に言い放つ

プルート「ここは私だけで十分だ。上層階にネズミが数匹いるから袋だたきにしてこい」


そのネズミとはアスラン達のこと
これでは足止めの意味すらない！

兵士達は流れるようにして階段を駆け上がっていく！


「止めたい」と誰もが思った
だが、目の前の壁があまりにも大きすぎた

レベルを上げたり、作戦を頑張って練ったり、装備を新調したりして、解決する話ではない


会ったら負け
敗北イベントだ


この非常事態にラムは何故かいない
チート同士なら、何か、出来るはずだったのに

いや、ラムの力を持ってしてでも、こいつには勝てないだろう




足止めも出来ずに、俺たちは終わるのか？
こんなところで？

全てが潰えた
もう、終わりだ




ラム「諦めるのが早くてよっ。英雄さん達っ？」




いきなりラムの声が大音量で響き渡る！

どうやら天井のアナウンススピーカーを乗っ取ったらしい



ラム「総帥♪残念だけどこの町は現在地上に向かって急降下中で～すっ！」
プルート「何！」

何とラムはメインコンピューター室のある４５階まで駆け上がり、メインシステムを全て停止させた！

やはり、ラムはチートだった

ラム「ついでに♪１０階から２０階の階段全てにに防火シャッターを下ろしたわ♪
残念ねぇ。これじゃあアスランボーヤ達の所に行けないわねん」


プルート「計画失敗か」


そう言い残し、総帥はどこかへ行ってしまった

だが、誰も追いかけようとは、思えなかった

第１５話終了



さくら「風よっ水よっ！共に燃えさかる炎を消せっ、ウィンディーッ！ウォーティーッ！」



予知夢に出てきたバグ・ディザスターよ！
攻撃、回復の対象を自由に変更可能よ！

どうやって戦うのか楽しみですわ！