ひろりん～の冒険日誌

酒場での修羅場は、リーダー格の男の撃破によりその幕を下ろした
その後、店内からはアルハマ達への歓声の声が響き渡りお祭り状態だった



だが、一方で法衣の女性は自らの攻撃で割れてしまった瓶と、その中身を見つめながら泣き崩れていた


誰がそこにいるわけでもなく、ただ「ごめんね」と、言い続けていた


アルハマ「大切な瓶だったの･･･か？」
さりげなくアルハマが尋ねてみる

魔族のアルハマにとって、五種族と人間は忌々しい存在だった
この種族を消し去る為の『災いの書』であり、この計画なのだ

今から屠り去る種族の話など聞くべきではないと、思っていた魔王だが
何故か尋ねていた


女性はゆっくり振り返り、深くお辞儀をした
「助けて頂いて、あ、有難う御座いました」

アレクサンドラ「あ、いえいえ。好きでやっていることですから」
内心でアルハマを恨みつつ、そう言う参謀


だだねこ「申し遅れました！私はだだねこ。旅の結界師をしています」
自己紹介をする女性


『結界師』とは、１年前の再世界誕生の際、新しく出来たユニークジョブの一つ

大量のＭＰ消費とチャージタイムを有するが、一定量のダメージを遮断する結界を張ることが出来る
一見してみれば無敵の職業だが、結界は連続して張れないし、
使いすぎるとＭＰが空になってしまう

難易度の高い職業だとアルハマは聞いている



アルハマ「俺はアルハマ。こっちはアレクサンドラ」
アレクサンドラ「アレクサンドラです。この瓶は何ですか？」

参謀が瓶の中身を尋ねてみる


だだねこ「『フィスミー霊薬』と呼ばれる貴重な薬です。
妹の実咲が重い病を患ってしまって、この薬が必要だったのですが･･･」

アルハマ「運悪く荒くれ者に絡まれてこの始末か。気の毒だったな」



参謀はしばらく考えた後、こういった
アレクサンドラ「フィスミー霊薬と言えば素材の方も貴重で、高度な調合技術も必要でしたよね？」
だだねこ「そうなんです。全財産を使ってようやく落札したのですが」


バザー内での価値も一級品
１００万は下らないという


そんな大金を二人が持っている訳でもないし、どうすることも出来ない
このまま立ち去ることは可能だ
逆にそうするべきなのだろう
忌々しい種族の話など、聞くに堪えないのかもしれない

だが、何故かアルハマはこう言い出した



アルハマ「アレクサンドラ。素材さえあれば調合は可能だよな？」
驚く参謀とだだねこ

アレクサンドラ「なっ！本気でやるの？」
アルハマ「乗りかかった船だ。元々冒険する予定だったんだしさ？」
アレクサンドラ「まあ、そうだなぁ～」
参謀も魔王に振り回されるのには慣れっこだった


話がまとまった所で、改めてだだねこに歩み寄る



だだねこ「あ、あのっ･･･何と言ったら良いか･･･報酬も何も無いのに･･･」
アルハマ「報酬なんていらないから。さ、行こうぜ？」


内心で「どうせ暇つぶしするだけだろ？ｗ」とつぶやく参謀



こうして、魔族２、結界師（人間）１という珍妙なパーティが完成した




出発は翌日と言う事になり、今日は宿を取ることにした
その街ではかなり高級なホテルだった
参謀に全額払わせているので、価格は分からないアルハマだが、かなり高級なホテルで、ＶＩＰクラスのスウィートホテルのようだった

今日のディナーもあばれうしどりのレアロースステーキや、季節の野菜サラダ、
デザートにはレットベリーの白ワインコンポートが出てきた


客室も豪華で、朝にはミラル渓谷の日の出を一望できる大きな窓とテラス付き
ベットも豪華極まりなく、ウェルカムフルーツはバスケットいっぱいのフルーツ盛り合わせ

アルハマ「今時のホテルってここまで進化してるのな」
アレクサンドラ「三人合わせて３万Ｇだぞ？ふざけてるのか？ｗ」


ホテルの中には、宿泊者しか利用できない武器屋や防具屋にお土産屋が陳列
かなり高級だが、相当なレアものばかり

ミニゲーム場にカジノ、すごろく、挙げ句の果てに屋上にはプールが設置されている


ここに宿泊する価値はＭＡＸだった
そんな豪華なホテルで快適すぎる１日を送った三人

そして、翌朝



アルハマ「朝食も最高だったなぁ～。もう一回明日泊まろう、参謀」
アレクサンドラ「殺すぞｗ」

身支度を済ませ、三人は朝日の差し込むミラル渓谷へ出発するのだった
それぞれの思いが交差する中、霊薬の素材探しに出発だ！




第３話終了

ホテルの描写を増やしたのは、実際にこんなホテルの泊まりたいなぁ，と言う俺の欲求

ドラクエなんて格安で全回復出来るのに、宿泊状況全然見えないしｗ
ＦＦ１５のリアリティーＭＡＸのテントで朝食や夕食を見習え、ドラクエ！