だだねこ「もう限界ですって~!数が違いすぎるっ」
ゆかり「でもここで止めないと!」
二人はこれまで何体もの魔物を屠り去ってきた
だが、敵兵力は約3万
二人でどうこうできる次元の話ではない
信念だけで守れないことがあると、思いたくなかった
だだねこ「アレクサンドラにアルハマ~ッ!何してるんだよーっ!」
ゆかりは今も覚えている
アルハマのあの顔を
自分にも、そんな経験があったから
アルハマがどんなことを思っているのか、何となく分かった
ゆかり「アルハマはさ。なんだか、自分の思いと色んなモノが交差してる。
まるで悪者が正義に目覚めちゃった感じかな?」
だだねこには、あまりよく分からなかった
でも、二人はきっと無事だろう
きっとどこかで、頑張ってるのだろう
今はそれだけで十分だ
ならば、自分も頑張らなくてはいけない
そう思って、錫杖に魔力を集中させたその時!
だだねこ「危ない、後ろっ!!」
ゆかりの背後からデビルアーマーがその斧をゆかりに振り下ろす!
結界は既に消えてしまっている!
ゆかり「きゃぁっ!」
アルハマ「アローフレンジング!」
振りかざしたペルダンディーが紅い光を放ち、天から極光を放つ!
輝ける光に撃たれながら、デビルアーマーとその周囲のモンスターは一斉に倒れる
だだねこ「アルハマ~っ!来てくれたんだね~っ!」
アレクサンドラ「俺も来たんだが・・・」
二人はゆかり達に合流した
ゆかりはアルハマの顔を見やる
その顔は、自由に満ちあふれていた
心に灯った情熱の炎が、燃えさかるぐらいに熱かった
深海なんて思わせない、そんな顔だった
アルハマ「俺が今やりたいことをやっているだけだ。これはただの気まぐれだ」
ゆかり「それでも嬉しい。来てくれて」
これで仲間が増えた
共に戦う仲間が
だが、やはり想いだけで進めない道や壊せない壁はある
その想いが、様々な要素と混ざり合うことで、人は強くなれる
人間だって、魔族だって
望遠鏡で周囲を見渡すだだねこ
だだねこ「もうすぐ次の敵が来ますっ。ここだけ守っていても意味がありませんよ!」
ゆかり「そうだね。四人でどれだけ守り抜けるか」
参謀は脳内で素早く計算式を展開する
素早い頭の回転によって、辺りがまるでデータ化したように見えてくる
戦力、時間、進撃速度、破壊ペース
2手に別れても勝率は0
4手に別れたらそれこそ全滅だ
守れるところだけ死守して守るか?
いや、奴らはここ一帯を破壊し尽くす
どのみち死んでしまう
参謀は頭を抱えながら考え続ける
ここを守りながら、誰も犠牲にならずに済む方法は
だだねこがふとこんなことを言い出した
だだねこ「あ~ぁ。どうせなら守る側じゃなくて責める側になりたかったなぁ~」
アレクサンドラの思考が一瞬停止する
アレクサンドラ「だだねこ。それはどうして?」
参謀の問いにだだねこは答える
だだねこ「そりゃぁ、守るだけのこっちに比べて、相手は攻撃のタイミングも全て握っているし、
いざとなれば逃げられるよね。『攻撃こそ最大の防御』~、なんちゃってw」
アレクサンドラ「それだ!それだよだだねこっ!」
いきなりだだねこの方をつかむ参謀
どこか凄く嬉しそうだ
アルハマに参謀が解説をする
アレクサンドラ「ここを守るという発想を捨てる。ここは守らない。でも、逃げない。
つまりこちらが敵を殲滅すれば、守る必要は無い」
つまり四人は守るのではなく功めることによって守るのだ
『攻撃こそ最大の防御』
とあるポケモントレーナーがよく言っていた
アルハマ「それなら俺が『あれ』をぶちかます」
参謀に向かってアルハマが言い放つ
アレクサンドラ「しょ、正気か!?確かにゾーン全範囲対象の攻撃魔法だが、あれはゾーン内の生命全てに攻撃するものだろ?
最悪俺らも死んじゃうぜ?」
アルハマの究極魔法
起死回生の一撃であり、諸刃の剣でもある
だが、ここに一人だけ、みんなを守れる力を持った人物が一人いる
アルハマ「心配ないよな。だだねこ?」
いきなりの呼びかけに困惑するだだねこ
だだねこ「な、何です?」
そういうとアルハマは懐から虹色のオーブのようなモノを取り出す
アルハマ「『広大なるワールドギャザラーズオーブ』っていう超絶レアアイテムだ。
これを使えば魔法の対象を世界全体に設定できる」
それは魔族の至宝であり、財産
最終的あの計画で使用するはずだったが、気が変わった
アルハマ「結界は敵に対してはかけられないが、一般人や野生動物にはかけられる。
だだねこはこのオーブを使って世界全体に結界を展開して欲しい」
だだねこ「えぇぇ~!世界に結界をぉ!?」