あらすじ
全ての記憶を見終わったアスラン
悲惨な過去と辛い現実が複雑に交差する中、
きょうすけ~はアスランを助けようとしていた
きょうすけ~「ねぇっ!お願いだよアスラン!目を覚まして!」
崩落による地響きが鳴り止まない
じきにここは岩で埋まり
生き埋めになってしまう
気絶したアスラン
正確には記憶を見ているアスランは目を開けることが無く
きょうすけ~は彼を見捨てることが出来ず
必死に訴えかけていた
きょうすけ~「ここに居たら死んじゃうよ!もう嫌だよっ!目の前で人が死ぬのは!
見捨てなきゃいけないなんてさ!」
マルクが消えた
いや、死んでしまった
アスランまで殺したくない
殺させたくない
何とかして助けなければ
だが、プクリポの小さい体では担いで逃げるのは不可能だ
それに退路はもはや無い
いや、正確に言えば岩で崩落した橋の向こう岸に渡ればチャンスはある
だが、橋も無いのに向こう岸にアスランを背負って飛び移るなど馬鹿のすることだ
何か無いのか?
この状況を打破する何か
なんでもいい
この際何にでも縋り付いてやる
傘が有れば滑空出来たかもしれないが
パーフェクトガードのせいで壊れている
他に空を飛べる物と言えば『空飛ぶ魔法の絨毯』ぐらいか
いや、あれは基本地面から50㎝浮く程度の代物だ
とても空を飛べるとは思えないし
そもそもドルボードも無いのに・・・
ある
あるじゃないか
ポケットに入ったカプセルを放る
ボン!と音がして
煙の中から出てきたのは
『フライングスケボードル』(フライボード)
チトとウィリアムが共同開発した試作品
欠陥品としてきょうすけ~が偶然持っていた物
これにアスランときょうすけ~が乗れば、向こう岸に行けるのでは?
だが、これは二人乗りじゃない
プクリポの体重は軽いけどアスランは気絶している
彼を乗せたまま走行するのはいわば自殺行為
でもこれしかないんだ
やるしか無いんだ
持っていたロープでアスランと自分とフライボードを結ぶ
これでアスランが走行中に落ちることはない
岩の崩落が止まらない
時間も、無い!
きょうすけ~「飛っべぇぇぇぇぇっ!!!」
ぎゅいん!と激しいエンジン音と共に
勢いよく周囲の砂を巻き上げて発進する!
予想以上のスピードに驚くきょうすけ~
ハンドルを握る手が震えている
だが、構っていられない!
一気に崖へ向かってダイブする!
橋が壊れていなければ・・・などと思いつつ、空中を駆け抜けるフライボード
空に浮いている
それは鳥になったような気分だ
速さのせいで視界がぼやける
操縦経験はないが
やってやる!
向こう岸に着陸!
ブォッ!と音を立て更に加速していく!
きょうすけ~「まずい!崩落が!」
向かう道の先では既に崩落の被害で通れる道がない
なお降り続ける岩石の雨を
空を飛びながらくぐり抜けるしかない!
きょうすけ~「保ってくれよ・・・。テイクオフッ!」
再度空を舞うフライボード
目の前に落下中の岩石が迫り来る!
それを紙一重で躱し
進路そのまま
加速していく!
全てを置き去りにしていくスピード
降り注ぐ岩石がいつしかスローモーションに見えてきた
既に手慣れた手つきで降り注ぐ岩石の雨を躱していくきょうすけ~
そして、岩石の雨を抜けた!
だが、油断できない
崩落がない安全地帯へ急がなければ!
地形から察するに入り口からの地上への脱出は不可能
なら、別の抜け道または空間へ繋がる道を見付けるしかない
走り続けるフライボード
そして前方にまたもや崖か?
いや、吹き抜けだ
下から上へ風がながれている
上昇気流だ
風の行く先には必ず別の空間が待っている!
一か八かこの気流に乗って上へ行くしかない!
覚悟を決めアクセルをフルスロットルにして上昇するきょうすけ~
天地の違いが分からなくなる感覚
まだだ
まだ上だ
スピードで振り落とされそうになるけど
落ちるのは自分だけじゃない
成功させるしかないんだ!
ボン!!
エンジンが突如煙を吹き出し始めた!
黒く焦げ臭い匂い
まなっちが体験した
『気圧のせいでエンジンが故障する』不具合のようだ
ここに来て引き返せない!
きょうすけ~「上がれぇぇぇぇぇぇっ!!」
あと、少し!!
の所でエンジンは更に大きな音と共に黒煙を巻き上げ、ゆっくりと落下していく!
きょうすけ~「そんなっ」
ここで落ちたら、何もかもお終いだ
終わってしまう!
死ぬっ・・・
シャキンッ
閃光が煌めき
フライボードと二人を結ぶロープが切り裂かれる
きょうすけ~「え?」