あらすじ
きょうすけ~は崩落する地下都市から脱出する為にフライボードを使用
だが後一歩の所で故障
その時、閃光が煌めいた
きょうすけ~「え?」
切られたロープが空中を舞う
なじみ深い、だけれどもどこか新鮮な赤い瞳を輝かせながら
左手で自分を持ち上げ
右手でレイピアに暴風を収束させる
放たれたそれは墜落するフライボードに命中し
小規模な爆発を発生させる
生じた爆風と技の反動で二人は地上へと到達した
最初の言葉を、きょうすけ~は少し迷った
感謝の言葉を述べるべきなのだろうが
そうではない気がした
仲間として戻ってきてくれたこと
そして、またその目を開けてくれたこと
それを言うなら
「ありがとう」などと他人行儀な事は言わない
きょうすけ~「おかえり、アスラン」
アスラン「ただいま、きょうすけ~」
その巨大な吹き抜けは地下都市と地上を結ぶ昇降板のあった場所だった
少し広い通路を抜ければ隣町アルタイルへと抜けられる
そこでアスランはきょうすけ~に見たことを話した
敵だというのに同情したくなるような悲惨な話の内容に心を打たれた
きっとアスランも同じ気持ちなのだろう
そう思って聞いていたきょうすけ~は
話し終わった後の言葉に面食らった
アスラン「あの、さ。僕がどうしてこれを見ることが出来たのか分からないんだけど、知ってしまった以上見過ごすわけには行かないんだ。僕はアルバートを止めるよ。話し合えれば、一番いいんだけどな・・・」
少し笑って、アスランはそう言ったのだ
兄の敵だぞ?
話し合いで解決できればいいななんて
少し優しすぎるのではないか?
きょうすけ~「ねぇ、アスランは憎くないの?アルバートのこと。だってあいつはマルクを・・・」
つい、口が滑ってしまった
今それを言ってはいけないと思っていたのに
だが、予想に反してまた少し微笑んでから答えた
アスラン「憎いよ。殺したいほど。だけどそれってあいつのやろうとしている事と一緒なんだよね。
怒りや憎しみよりも、『あいつを止めろ!』って胸の中で叫んでる気がするんだ。兄さんや悟空が」
思えば、最初もこの三人が始まりだった
あの日あの家で三人集まって
二人で旅に出て、仲間に出会って
兄さんが仲間になって
でも、そんな始まりの二人は今日この数時間の中で消えていった
一人は殺され
もう一人は体を乗っ取られた
念話のパーティーチャットで安否確認をりなにされたとき
聞いてしまった悲惨な事実だ
マルクの事を伝えたときも、りなは念話越しに泣いていた
そんな悲惨なことはさせない
まだ、悟空を助けないと
アルバートを止めないと!
そう、何かが訴えかけてきているんだ
きょうすけ~はふと、死んでしまった妹ソフィアの事を思う
こんな情けないお兄ちゃん、駄目だよね
きょうすけ~「ソフィア、僕は・・・迷ってるけど・・・仲間を信じる。これで良いのかな?」
“迷うなんてお兄ちゃんらしくないよ。前を見ようよ、ねっ”
今の声は幻聴か
自分が作りだした妄想か
だけど、何かが吹っ切れた感じがした
きょうすけ~「ありがとう、ソフィア」
何かが向かってくる気配がした
忘れる筈もない、あの時の禍々しき野心的なオーラ
深い復讐の闇に捕らわれた大精霊の気配
きょうすけ~「アルバート・・・どうしてここに?」
アスラン「粗方僕たちと同じ考えだよ。ここを抜ければ隣町だ。ここで休憩でもしてたんじゃない?」
そう言うとシャキンと金属音を放ち、鞘からレイピアを引き抜く
きょうすけ~はなけなしの投擲用ナイフを構える
しばしの静寂が空間を支配した後
アスランがゆっくりと口にした
アスラン「貴方は間違っている、アルバート・ゼロ!復讐は何も生み出さない!」
アルバート「何も知らないくせに、他人の行動に口出しをするな!」
いや、知ったんだ、全て
それを伝える暇も、今の三人はない
だから
まず黙らせる!
アスラン「咆えろ!剛き稲妻っ!」