あらすじ
アルバートとの再戦
説得の余地なし
まず黙らせる!
先に火蓋を切ったのはアスラン
矛先から迸る雷を
迷い無くアルバートの闇へぶつける
空気中に弾けるスパークが周囲を一瞬照らし
闇の力を弱める
その一瞬が、アスランの好機
アスラン「話を聞いて貰えないなら、動きを止めるっ!」
闇が弱り、出来た隙間からのぞかせたのは
アルバート
いや、悟空の足
そのままの軌道で撃ち出された一撃は
その足の臑の部分を貫いた
細身のレイピアが足を貫いただけで動きを止めようなどと思っても居ない
むしろ確信していたのだ
体勢を崩し、後ろに倒れることを
足を切られ、大きくバランスを崩すアルバート
驚きが隠せない
アルバート「な、何故っ?」
不意に、こんな会話が頭をよぎる
アスラン「悟空ってさ、ここを叩かれると転んじゃうよね」
悟空「恐らく神経がここに集中してるんだと思うぞ。うぅっ・・・昔っからいっつも組み手の時ここ蹴られて転ぶんだよなぁ」
アスラン「それって悟空だけだよね、僕は全然関係無いし」
悟空「まぁ、親友のお前には俺の弱点言っておくから・・・」
アスラン「悟空・・・?」
悟空「もし俺が間違った事をしてたらここ思いっきり叩いてくれよな」
アスラン「あ、うん。要するに悟空が海水浴場で水着ギャルガン見してるのを止めればいいんだね?w」
悟空「そ、それは男のロマンなの!」
アスラン「うっさい」
ドスッ
悟空「うわぁっ、ちょw教えるべきじゃ無かったかな・・・笑」
アスラン「体を乗っ取ってるわけだから、本質的にそれは『悟空の体』だろ?魔力が少ないせいで闇が出しづらいのを見る限りそうだ」
つまり、悟空と身体的な構造が同じ
だから悟空の弱点は奴の弱点でもある
間違ってたら、止めるさ
お前の体ならなおさらだ!
心で叫びつつ、体勢を崩した体に追い打ちをかける!
撃ち出された攻撃は、なんとタックルだった!
アルバート「!?」
2回も体勢を崩されたのでは倒れるしかない
どさっと地面に肉体を落とす
アルバート「まさか、武器を使わずに体術を使うなんて・・・」
アスラン「こっちは7年間も一緒に悟空と無理矢理組み手やらされてたんだ。嫌でも覚えざるおえなかったんだよ」
さらにそこへきょうすけ~が躍り出る!
きょうすけ~はアスランに渡された投擲用ナイフではなく
懐に隠していた筆を取り出す
きょうすけ~の職業は『芸術家』だ
傘で銃弾ぶっ放したりと柄にもない攻撃ばかりしていたが
本来は違う
絵には力がある
踊り子が舞うように戦うように
旅芸人がその芸で道を切り開くように
芸術家はその才能と絵で、自分だけの世界を広げる!
それがきょうすけ~の隠していた奥義
『戦場環境変化魔法術』
きょうすけ~「フィールド・オブ・ペインター!!」
筆が、なないろに輝き
空間を塗りつぶしていく
神々しい光の空間が一面に広がっていく
世界が絵の中へ引きずり込まれていく
輝くのは艶麗
煌めくのは芸術家のセンス
あふれるのはその信念と情熱
光のフィールドへと変貌を遂げた地下都市は
アルバートにとって最悪のコンディションと化した
アルバート「くそっ!あのガキ奥の手をっ・・・」
きょうすけ~「アスラン今っ!!」
この技は精神力と魔力を激しく消耗する
あとはアスランを信じるまでだ
アスラン「貴方も分かっているはずだ!復讐は新たな復讐を生み出す事しか出来ない!」
アルバート「うるさい!俺は待ったんだ、300年間ずっとこの時を!」
力ずくで押し返すアルバート
アスランは負けじと飛び上がりアルバートの顔に豪快な横蹴りを入れる
アスラン「バカバカ馬鹿ッ!そんな事であの町のみんなが・・・ミキが喜ぶとでも思っているのかよ!」
はっとなるアルバート
アルバート「何故・・・それを知って・・・」
アスラン「もう終わりなんだ。過去は変わらない。時間は戻らないよ・・・。今すべきは過去にとらわれた復讐じゃない!同じ過ちを繰り返さないことだ!」
悲痛な叫びが、光のあふれる空間へとはっきり響いた
“お兄ちゃん、笑って。怖い顔は似合わないよ~っ!”
幻聴?幻覚?
そんな事はどうでもいい
涙が止まらなかった
アルバートはまるで赤ん坊のように、泣き出したのだった・・・