※この日誌はフレンドのガスパール君と5/1に行った「自キャラの設定に沿ってロールプレイ(つまりは即興劇)しながらアストルティアを散歩する」二人企画を小説風にまとめたものです。
※出来るだけチャットの台詞をそのまま再現するようにしましたが、尺などの都合で編集している部分もあります。
※色々と生暖かく見守る必要があります(主に僕を)。
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結局、黒ずくめの旅衣装のおかげで僕は不審者と間違われ、マンマーに顔見せすることは叶わなかった。
巨猫の巣から出てきたガスパールは特に何も気にしてない風に声をかける。
「時にドーリィ。ちゃんとマスターのところには顔出してる?」
「出してるよ…。ちゃんと納品してるよ」
「僕はたまにだな…しかも一品だけのことが多い。
ってことで、オルフェアでご飯食べよう」
さっさと行こうとする彼を呼び止めなければならない気がした。
このまま本音を伝えないままではいけないと思ったのだ。
「ガス、さっきの話だけど。
…料理は争いのためのものだって言っただろ」
「そうだよ」
「もし本当にそうだったとしても…
僕はそれでいい」
彼は黙ったまま聞いていた。
「本当は、平和なんか願っちゃいない。自分が傷つくのが嫌なだけ。
料理しかないんだよ…僕には」
嘘をつくまいと考えるほど、そうとしか言えなくなった。
この言葉は彼にどう響いているのだろうか。
「け…軽蔑するなら…それでいいよ。そ、それが僕なん、だもの」
「ドーリィ」
嘘だった。
作り手として同じ側に立つはずの彼に嫌われるのが、一番恐ろしかった。
「羨ましいな」
「なにがさ…」
「君は想いが弱いのに技術が素晴らしい。
皮肉なもんだ…」
彼の言葉が心の中の、良くない部分に刺さったようだった。
耳ヒレの付け根の奥がちりちりと焼ける。
…悪かったな、想いが弱くて。
どうせ、空虚な技術。持たざるものがどれほどか、血のにじむ思いして手に入れただけの、そう、それだけのつまらない技術……
「ドーリィのいう傷つくってなんだ?心?体?
生きてるってなんだ、そして死ってなんだ…」
こんがらがってきたのか、考え込み始めたガスパールが続ける。
「僕たちに世界は救えない」
「…世界が救いたいんじゃない」
「料理を買うのが救う側の人だよ」
「戦いなんかどうでもいい!
料理食べた人が、喜んで。笑って…。それを見てる時だけ、僕は…世界の一部になれてるって感じる。歪んでんだ、でも本当に僕には料理しかない。料理ができなかったら、存在してられない。生きていられないよ……っ」
自分でも、なぜこんなことを言っているのか、混乱していたが…
絞り出すような心の叫びが、猫島の空に溶けて行くのみ。
(続)