日常では我々がまったく見ることのないドワ子職人。
アストルティアに冒険者が増えた今でも、その正体は謎に包まれている。
私は独自のルートで職人に連絡を取り、交渉の末に今回はドワ子集会4周年ということで特別に取材が実現した。
時刻はまだ夜明け前、ドワ子職人の一日は入念な素材チェックから始まる。
辺りには雪が積もり、身を刺すような寒さだ。
「まぁ好きで始めた仕事ですから」
ドワ子の製作は複雑で専門性が高いことで知られている。
やりがいはどのようなところにあるのだろうか。
彼が手を休めた隙に質問をぶつける。
「やっぱり一番嬉しいのはお客さんからの手紙ね。この仕事やってて良かったなと」
手紙は大事に保管されていた。
そして見渡すと、彼の作業部屋には驚くほど工作機械が少ない。
「やっぱりね、手ごねだからこその弾力ってあるんです。機械がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ」
毎日毎日温度と湿度が違い、機械では最適な練り方ができないらしい。
尋常でないこだわりは、仕込みに満足できないとその日の営業をやめるほどだ。
彼は仕込みの際に最も重要なのは水だと語った。
グレンの山奥という厳しい環境に住まいを構えているのは、この場所で採水できる水が硬すぎず、且つ軟らかすぎないというドワ子に最適な条件を満たしているからだという。
型に素材を流し込んでゆく
この時の温度調節で品質はガラリと変わってしまう。
製作が佳境に入っていく。
30年前は何十ものドワ子工場が軒を連ねたこの街だが、今では職人は彼一人になってしまった。
安価で高品質を謳い文句に台頭してきたドルワーム製品に押されているという。
「いや、私は続けますよ。待ってる人がいますから――」
下町ドワ子の灯火は弱い。
だが、まだ輝いている。
「遠くからわざわざ求めてこられるお客さんが何人もいる。体が続く限り続けようと思っとります」
迷いなくそう言った彼の目には一点の曇りもない。
初志貫徹という言葉がこれほど似合う男は他にいないのではないだろうか。
「一度やめようかと思ったこともあるんです。でもね、街中で若者が動かしているドワ子を見たとき、あんなんじゃダメだ! 俺ならもっといいものを作れる! ってやっぱりこの道に戻って来ちゃったんです。あの青年のおかげです」
作業開始から5時間が経過した。
どうやらドワ子が完成したようだが……
「これは失敗だ」
そう言うと彼は出来上がったドワ子を床に叩きつけた。
「心を込めて作ったドワ子ですから自分の娘も同然。だけど、納得できないものを売るわけにはいきませんから」
そして再び製作に戻る。
真剣な様子に、私は固唾を呑んで見守っていた。
「本物……本物をね……伝えたい」
彼は作業の最中、そう呟いた。
その呟きこそ、現代のアストルティアに失われつつあるものではないだろうか。
今日も彼は日が昇るよりも早く生地の成形を始めた。
明日も明後日も、その姿は変わらないだろう。
そう、ドワ子職人の朝は早い――――
おまけ
リボンは大事
光導師ミミナ(DWK☆48)
グレンで座ってただけなのにレベル上限解放してもらえた
☆反省
プレイヤーイベント感想のカテゴリーから完全に逸脱している
写真を撮るために何度もマグロちゃん(オーガ♂)をハリセンで叩いた
写真などに関係なくサポート仲間のカエルーさんをハリセンで叩いた
すみませんでした
わらさんの風邪が早く治りますように