10月某日、普段は人が少ないはずの岳都ガタラ中央広場に無数のドワーフが詰めかけていた。彼らは歌や踊ることに夢中になっていて、私が近付いてもそれほど気にせず盛り上がっている。いったいこの集まりは何なのだろうか。特に予定がなく時間を持て余していた私は彼らの様子をうかがうことにした。
そろそろ22時になろうかという頃、ドワーフ達が徐々にそわそわし始めた。あれほど熱中していた彼らが、時間が経つにつれ1人、また1人と大人しくなっていく。気を遣った訳ではないが、どうかしたのかと近寄って声を掛けようとしてふと気付く。たしかに大人しくなってはいるが彼らの表情には不安や恐れだけではなく、期待や希望といった様々な感情が混ざっていた。静かになったはずの広場は、ドワーフの意思が渦を巻いているかのごとく異様な雰囲気で、むしろさっきよりも騒がしく感じる。もしもの場合に備え少し距離を取るべきか迷っていたとき、1人のドワーフが言葉を発した。
「ドワ子集会はじまるどわ」
野に放たれた獣のようにドワーフ達は一斉に移動を始めた。すかさず私も後を追った。彼らが向かうのは街の中にあるガタラ展望台という場所らしい。数回ほどクエストで立ち寄った記憶はあるが、いまいち何のために存在しているのか分からない施設だ。広場のドワーフの言を信じるなら、その展望台でドワ子集会なるものが行われるはずだ。無駄に長い階段を昇って採掘ギルド前を通り過ぎ、ようやく辿り着くと、そこには目を疑うほどのおびただしい数のドワーフが集結していた。
呆然としていると、軍服を着たドワーフの女性が私に話しかけてきた。
「どうしたでありますか?」
「いえ、人が多すぎて驚いてしまって……あなたは?」
「これは失礼。自分はガタラ方面 特務部隊所属 キュアナ特務中尉であります!」
彼女はそう言うとピシっと敬礼をした。軍隊まで来ているのかと驚いていると、周囲に続々と部隊員が集まってきた。ドワ子集会の防衛任務ということで、彼女が率いる小隊が派遣されてきているようだ。私のような流れのプクリポ相手にも妙に親切で、不思議に思って尋ねると、職務上民間人に接することが多いため慣れているのだという。この集会や軍についての貴重な話を聞くことができた。
しばらくの間隊員達との会話を楽しんでいると、このドワ子集会のメインイベントである遠足の目的地が発表された。ドワ子集会ではまずこのガタラ展望台に集まり、遠足の目的地が主催者側から発表され、目的地へ到着することで全行程が終了するらしい。シンプルな内容だがこれほどの人数を誘導することなど本当に可能なのだろうか。目的地が発表されるとすぐに隊員達が整列し、隊長の「小隊前進!」の合図とともにガタラの街の入口へと向かっていった。遠足の行き先は毎回変更されており、今回はアグラニの町が目的地らしい。私も彼らの後を追った。
(展望台で軍人と記念撮影したがその後に写真を撮りすぎて消えてしまったため、2か月前のロックしてあった写真で代用)
ガタラを出るとあまりの人の多さにエリア移動で固まりかけた。以前テンの日のイベント『幸福のマッドレインボー』のときのエリア移動でも同じような状態になったが、まさかプレイヤーイベントでここまで人が集まるとは思わなかった。
ガタラからアグラニまでの道はドワーフで埋め尽くされ、まったく迷うことがなかった。モンスターに衝突する冒険者もいたが、さすがに初期町付近の敵なので通常攻撃だけで瞬殺されていた。
アグラニの町の前にはすでに人だかりができており、町の外に集まるのが目的だったのかと思うほどの大量のドワーフがいた。この場所にこれだけ人がいるのなら中に入っても誰もいないだろうと思って町へ進むと、信じられない数のドワーフが入口付近から高架下、中央テントの周囲にいたるまでびっしりと密集していた。
思う存分にドワーフまみれになった1日だった。このドワ子集会は今回で通算150回目になるという歴史あるイベントで、その記念回でもあったためにいつも以上に来場者が多かったという。季節イベントの影響も少なからずあったようだ。
今回の追跡調査でガタラの人だかりの正体が明らかになった。だがこのドワ子集会の調査は引き続き行っていく必要があるだろう。いったい何がここまでドワーフ達を惹きつけるのか。これだけのイベントをどのような人物が開催しているのか。謎は深まるばかりだ。
おまけ
DWK☆48を見に行ったらまさかのSKN☆48公演。
誰も要求してないのに水着のサービスタイムもあった。
今年のハロウィンイベントはすごい