これまでのあらすじ
ドワ子集会の情報の入手に成功し、開催地とされる獅子門に潜入&調査を開始するも何者かに襲われ意識を失ったゴロー。気が付くと目の前にはきらびやかな装飾が施された謎の建物があった。見るからに怪しいが人の気配を感じる。状況を把握するため、ひとまずその建物へ入ろうとするが……
「ご予約のゴロー様でしょうか」
入口にはタキシードを着たドワーフの男性が控え、俺の姿を見るなり尋ねてきた。
「たしかに俺はゴローだが……ここは一体何だ?」
「お待ちしておりました。Club『冥土Lazuli』へようこそ」
男はそう言うと慇懃に礼をした。冒険者とは無縁の非常に洗練された所作だ。そういえば付き合いで一度だけ入ったメギストリスの高級レストランでもやたら丁寧な対応をされたことがあったなと思い出した。
「メイドLazuli? 聞いたことないな。ってそんなことよりも道を聞きたいんだが、ここはどこだ? 獅子門へ行くにはどっちへ向かえばいいのかな」
俺の質問に男は顔を上げると、
「さて、私には分かりかねますが……ここはLazuliでございます。それ以外の何物でもございません。さあゴロー様、どわ嬢が待たせてあります。中へどうぞ」
要領を得ない答えが返ってきた。どうやら別の人間に聞く必要がありそうだ。しかしこの奇妙な建物に入るのか……今のところ眉毛に危険な反応は無い。行ってみるか。どわ嬢とやらも気になるし。
俺は男の案内に従いLazuliの中へ入った。
俺をテーブル席へ案内すると、男は店の奥へと引いて行った。ここでどわ嬢が来るのを待てばいいらしい。
店内は広大なフロアがぶち抜かれていて、他のテーブルとはパーテーションで仕切られている。仕切りや柱には光沢のある石材が使われており、ぼんやりとした不思議な光を放つ照明と相まってどこか現実離れした雰囲気を出している。
頭上には高い天井とシャンデリア、足元にはブーツが沈み込むほど深い絨毯が敷かれているなど……どこを取っても立派な調度品で埋め尽くされている。まるで話に聞く王宮のような店だ。
しばらく席で待っているとドレスに身を包んだどわ嬢と思しきドワーフの女性二人組が来たのだが、その片割れを見て驚いた。
「あんたは……アイドルがこんなところで何をしているんだ!?」
そこにはアストルティアNo.1アイドルグループのメンバーがいた。
後編へ続く
※フィクション多め 2,000字越えちゃったから分割><