ゴロ～～の冒険日誌

寿司に並ぶ高級日本料理『天ぷら』。
少し贅沢な家庭料理や惣菜といったイメージがありますが、
一方で職人として天ぷらの調理を極めようとすれば
その道は一生をかけても尽きることがないともいわれています。

食の深淵に挑む天ぷら職人の生き様とはどのようなものなのでしょうか。



■プロフィール
名前：ゴロー（70歳）
出身地：プクレット村
職業：天ぷら職人

15歳から地元の老舗天ぷら屋に住み込みで働き始め
30歳で『天ぷらゴロー』をメギストリスに出店、独立する。
各界の著名人が訪れる名店で、近年ではミシュランガイドで連続して星を獲得している。






■経営スタイル
出店した当時は数千円からのコースが主軸でしたが、
お客さんから
「腕が良いんだから、今のメニューより高い料金のコースもやってくれ」
との注文が多く入るようになり、そこで方針を変えたそうです。
価格を上げればそれだけ良い食材を仕入れることができる。
ワンランク上の料理に挑戦することは燻ぶっていたゴロー氏の心に火を着けました。
やがて客層が変わり品質を求める客が増えていくと、
ある日こんなお叱りを受けたそうです。
「カニはやってないのか。高くなってもいい。
面倒だからゴロさんが良いと思うものを仕入れてきて時価で出してくれ」
ようやくゴロー氏はお客が本当に求めているものに気付きます。
値段に意味は無く、ただひたすらに美味しい料理を追求する。
遠慮することは逆に失礼になるのだと。
すでに独立してから10年が経っていました。






■天ぷらへのこだわり
食材に衣をつけて油で揚げる。
文章にするとたった一行で終わってしまいますが、
その工程には膨大な数の工夫やこだわりが隠されています。
ゴロー氏に伺った話の中で重要なものをまとめると、
　①信頼できる仕入れルートを確立し、旬で鮮度の良い食材を入手する
　②衣の配合比率と油のブレンド
　③食材に適した量の衣を纏わせ、それぞれに最適な時間、温度で揚げる
　④店内の環境を整える
以上の4点が挙げられます。
特に③の揚げに関しては、実際に海老の天ぷらを作っていただいたのですが
驚きの連続でした。
通常の海老天では1分ほどの揚げ時間が目安であるというのに、
ゴロー氏の場合は僅か27秒で油から上げてしまいます。
そうすると中身は当然のように半生なのですが、
口へ運んでみると衣の食感の次に濃厚な海老の甘みが広がるのです。
サーモグラフィーでゴロー氏の海老天を調べると、中の海老の温度が
人が甘みを感じ易い温度に抑えられていたことが分かりました
（甘味は体温に近いほど強く感じる）。
一転して鱚（きす）の天ぷらでは焦げるギリギリまで揚げるという
海老とは真逆の方法で、鱚が持つ風味を限界まで引き出します。

ゴロー氏は次のように語りました。
――揚げることで水分を飛ばし味を凝縮するのが天ぷらだが、
油の熱と素材の水分によってある意味『蒸されて』もいる。
江戸料理の伝統として素材の味を引き出すという部分は昔から変わらないが、
手法や発想は今なお進化し続けている――






■職人としてのこれから
周りから『天ぷらの神様』と呼ばれるほどの高みに至ったゴロー氏。
当の本人はまだまだ道半ばだと謙遜し、食材の研究に余念がありません。
最近では深海魚などのいわゆる雑魚にも手を出し始めた模様。
一体なぜ彼は走り続けるのでしょうか。
対話によって得られたゴロー氏の金言で締めくくりたいと思います。

『若手に接するときは必要以上に怒ったり苦労話を聞かせてはいけません。
大事なのは上の人間が行動で示すこと。
だから私自身が絶えず努力して成長していかないといけません。
かつて池波正太郎先生がお見えになられた際に頂いた言葉があります。
「ゴロちゃん、未熟であることが大切なんだよ」と。
未熟であり完成していないからこそ発展の余地があるのだと思います。
そうして人生の最期まで天ぷらを揚げ続けて、死ぬときは天ぷら鍋の前で死にたいですね。
いや、そのまま倒れて鍋に入ると素揚げだから、先に衣に頭を突っ込まなきゃね（笑）』

70歳を超えた細い身体。
しかし冗談を交えながらハキハキと話す様子を見るに、
プクリポの天ぷらが揚げられるまでにはまだまだ先は長そうでした。

プクリポの天ぷら　～終わり～



※天ぷら職人の記事を適当に混ぜて書いたのであやふやな部分があります。
前回の日誌で天ぷらのコスプレの評判が良かったので天ぷら日誌にしました。
本文がほぼ集会と関係なくなりましたが、写真がメインなので大丈夫でしょう。