成長したオスカルはあらいぐまとしての本能に抗い切れず、
時たま乱暴な行動を起こすようになりました。
ハードコアな音楽に傾倒したり、そのファッションを真似てハードワコになるなど。
そして極めつけはヤクルトスワローズの熱狂的なファンになったこと。
特にヤクルトが不調の時には手が付けられないほどに荒れ狂うため、
その様子を見たラルゲットは決断せざるを得ませんでした。
「オスカルを野に帰そう」
オスカルとラルゲットの別れの時が近付いてきました。
共に長く過ごした親心もあって、オスカルが安全に森に戻れるようにしたい。
ラルゲットはオスカルを野生に帰す方法を考えました。
それは“あらいぐま系ドワ子”の群れを呼び寄せてオスカルを託すこと。
群れの一員になることができれば生存の可能性はグッと高まります。
ラルゲットはガタラ展望台にドワ子を集める計画を立て奔走しました。
2012年9月17日。
ガタラ展望台にはドワ子の群れという奇跡のような光景が。
大きな仕事を成し遂げたラルゲットは、残る最後の仕上げとして、
オスカルの旅立ちを見届けようとその場に立ち会っていました。
腕の中のオスカルは大人しくしています。
もはや暴れているのが普通の状態という段階にまできてしまったオスカルを
抱きかかえることができているのは、ラルゲットが東京音頭を口ずさんでいるから。
この曲を聴いているときだけはオスカルも大人しくなってくれる。
その習性を利用してラルゲットが苦肉の策として編み出した方法でした。
ラルゲットがあらいぐまの群れを見つけると、オスカルをそっと放しました。
何度もラルゲットのほうを振り返りながら群れのほうに向かって行くオスカル。
しばらく見守っているとオスカルは無事に仲間として迎えられたようで、
一匹増えたあらいぐまの群れはそのまま森に帰っていきました。
「さようならオスカル。達者で暮らせよ」
涙を流しながら叫んだ声はオスカルに届いたのかどうか。
ラルゲットには『ウー』といういつもの鳴き声が聞こえた気がしたのでした。
後にドワ子集会と呼ばれることになる集まりは、
当初はオスカルを野生に帰すために企画されたものでした。
現在では種族を問わないプレイヤーの交流の場として賑わっていますが
その当時の元々の経緯を知る人はほとんどいません。
皆さんも次にドワ子集会に参加した際には
ドワ子とあらいぐまの物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
(おわり)
※解説
ラルゲットさんはドワ子集会の主催者
オスカルさんはそのスタッフ