※本件、Ver4.0およびそれ以前のネタバレを含む可能性があります。
閲覧の際は、ご注意ください。
シンイ『どうやら巻いたみたいですね』
流赤 「皆無事かの?」
ピコン『どう見てもあんたが一番無事じゃなさそうなんだけど』
り 「搦め手無しで敵に突っ込む羽目になっての」
本当は地面にせいけん爆撃を放って地響きを起こす筈だったのだが
前回の日誌が2000字を超えた結果、その行動は無かったことになった。
シ 『流赤さん、画面の向こう側に言い訳するのは反則ですよ』
ピ 『シンイさん、地の文にツッコミ入れる方が反則だと思うの』
…今後の日誌は少々書きづらくなりそうだ。
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処刑直前、妹と幼馴染の乱入により首チョンを免れた私は
二人の包囲網へ突撃、突破し、追っ手を巻くことに成功した。
ピコン達の侵入時に王都への転送装置は封鎖されたため
取り敢えず手近な武器庫(衛兵詰所)へ逃げ込んで体制を立て直す。
ピ 『流兄、今の職業は?』
り 「魔法戦士。そっちは?」
ピ 『私は占い師、シンイさんは賢者ね』
り 「何考えてるかよくわからんPTでござるな」
ピ 『転職する暇がなかったんだから、しょうがないじゃないのよ』
シ 『継戦能力は高いですよ。全滅のリスクも小さいですし』
喋りながら各自装備を改めていく。
ピコンとシンイは、手持ちの革や布で装備の破損を補修していった。
り 「よく持ってたな」
シ 『村の復興作業の直後でしたので』
ピ 『全部成り行きよね。因みにあんたのそれ、無理だからね』
り 「でしょうな」
私は破損変形して体に刺さっていた鎖帷子を引き抜き、そのまま脱ぎ捨てた。
幼馴染が片手間にホイミをかけ、傷口を塞いでいく。
包囲網へ突撃した私に待っていたのは、外野の宮廷魔術師による
魔法の雨あられであった。
【魔結界】や【マホキテ】による多少の威力相殺はあったものの
【マヒャド】と【メラゾーマ】の連撃を食らい続けた結果
包囲を抜けた段階で、私の装備は原形を留めていなかった。
急激な加熱と冷却、衝撃を同時に受け続けた金属部分は
あちこちが割れひしゃげてしまい、最早使い物になりそうもない。
シ 『メド〇ーアじゃなくてよかったですね』
り 「メド〇ーアだったら身体ごと消し飛ぶじゃないかな」
メラゾーマとマヒャドを合体させて放つ『極大消滅呪文』と呼ばれる
恐ろしい呪文が存在するのだが、一応別の世界の呪文である。
気になる方がいたら調べてみてほしい。
因みにこの世界にも存在する『ギガブレイク』は元々その世界の技である。
り 「…ところで、革と布、余ってたりせんかぇ?」
シ 『ありますけど、何に使うんです?』
り 「装備がズボンしかないのは流石にちょっとな」
装甲を失った手足になめし革の切れ端を当て、細くした白布で巻いていく。
即席の防刃対策である。胴体は間に合わなかったが。
微妙に余った白布を頭に巻き、破れたジャケットは失った腰布の代わりにした。
最後に入り口付近の剣立てから手頃な剣を拝借すると
* 『いたz』スコォン。
入ってきた兵士をヘルメットごと鞘で殴り倒した。
り 「…バレた?」
ピ+シ『バレたでしょうね』
り 「いい音したもんなァ」
上の階からガチャガチャと金属靴の音が聞こえてくる。
武器庫のあるフロアの奥は地下牢、袋小路だ。
王宮の人間全員を敵に回しているこの状況下
ここで応戦するのは流石に頭が悪い。
大軍が押し寄せる前に上のフロアへ上がる必要がありそうだ。
私が合図するまでもなく、二人とも武器を抜いていた。
り 「誰だよ詰所に寄ろうなんて言ったのは」
ピ 『どの口が言ってるのかしら』
階段をめがけて駆け出した。