【前編はこちら】
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/505127983658/view/6519450
この日誌はTwitterハッシュタグ「#もしも蒼天のソウラで魔族将兵を100人募集したら」で作ったものをベースに細かい設定やエピソードなどを添えて作成したものです。
そのため、ドラクエ10本編とは異なる設定や解釈がありますのでその点はご了承ください。
※
「ぎゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!」
海底離宮の中でむさ苦しい男の叫び声が聞こえたかと思えばものすごい形相で走りこんでるゾフィーヌの姿があった。
その背後には先ほど起動したばかりのゾンビ兵0号(以下「0号」と呼称)が雄叫びを上げながらゾフィーヌを追いかけていた。
その様子を他の魔博士たちが様子をうかがっていた。
「あれってゾフィーヌのゾンビよね?」
魔境庭師アビーが指をさしながらエストリス達に話しかけていた。
「ゾフィーヌが冒険者の死体を持ってきて実験をやっておったがあれがそうか」
魔工技師プラクゥが冷静に話す。
「くだらない、全くもってくだらない」
傀儡匠エストリスが蔑むようにソフィーヌを見つめていた。
「エストリス! プラクゥ! アビー! 奴を止めて欲しいであ~る!!!」
ゾフィーヌが逃げながら他の魔博士たちに助けを求めた。
「下等種族などに髪の毛一本たりとも触れたくもないわ」
「ゾンビにしちゃったら植えられないじゃない」
「お前が拾ってきたんだから責任もって処理せんか」
そう話した後でプラクゥがガチャコッコに指示を出した。
「とはいえこのままにしておくわけにもいくまい、ゴオウ様にあのゾンビを止めてもらうとするか」
しばらくするとゴオウがやってきて、0号との壮絶な戦いの末にノックアウトさせた。
0号は再び診察台の上に寝かせられていた。
「これが実験中のゾンビねぇ、動きもパワーも生きてる人間と全く変わらなかったぜ」
ゴオウの感想を聞くとゾフィーヌから笑みが浮かんでいた。
「どうやら生前の格闘能力は失われておらぬようであ~るな、実験は成功であ~る」
「どこがだ、制御出来てないなら失敗じゃないか」
エストリスがツッコミを入れる側でゴオウは0号の顔をまじまじと眺めていた。
「ゴオウ様、そのオーガの顔に見覚えがあるのですか?」
エストリスの質問に対してゴオウが答え始めた。
「いや、俺自身は会ったことがねぇ」
「ただ鬼面の軍勢の中に黒い道着を着た腕の立つオーガがいると聞いてな、そいつの体術とツメを使った技で多くの仲間がやられたと報告を受けていたんだ」
「………」
「俺も一度手を合わせて見たいと思ってたが戦場で亡くなったと聞いて残念だったよ、まさかこんな形で叶うとは思わなかったけどな」
ゾフィーヌはムホホッと笑いながら上機嫌で話し始めた。
「歴史に消えた戦いの技や呪文を使う者たちの復活。このゾンビ兵士0号はそれを実現するための第一歩なのであ~る」
ゾフィーヌはゴオウに問いかける。
「ゴオウ様もそんな相手と戦いとは思わないであ~るか?」
そんなゾフィーヌに対してゴオウは不機嫌な顔になってゾフィーヌに背を向けた。
「くだらねぇ、いくら過去の能力や技を持っていたとしても心が通っていなければ意味はねぇんだよ」
そう吐き捨ててゴオウは自分の部屋に帰っていった。
「残念であ~る、ゴオウ様なら喜んでくれると思っていたのに」
ゾフィーヌは目を閉じて横たわる0号を見つめていた。
「まずは0号の暴走を何とかせねばないかんであ~る」
その後、0号には視界を遮る大きな仮面が付けられた。
これにより自分自身や魔軍の兵士を襲う暴走事故は格段に減った。
「何とか実戦で使えるようになるまで調整は出来たであ~る」
ゾフィーヌは誰に問いかけるでもなく話し始めた。
「0号は唸り声や叫び声しか出せないが、次は呪文も使えるゾンビも作りたいであ~る」
その顔には笑みが浮かび、徐々ににやけ顔に変わって足元も軽くなっていた。
「ゆくゆくは歌やダンスも出来るゾンビを作って時代を超えたアイドルユニットなんか作っちゃったりしてー!!!」
そう言いながらゾフィーヌは笑いながらダンスを踊っていた。
「気持ち悪いわ」
ゾフィーヌの部屋の前を通り抜けるプラクゥがボソッと呟いた。
その後ゾンビ兵士の研究は続けられたが実戦に投入された記録は今の所無い。
もしかしたらソウラや突入部隊の前にゾンビ兵の部隊が現れる日が来る…かもしれない。
(完)