※この日誌内容は完全フィクションです。
『よく来たな新人』
「あ、はい、今日はアドバイスよろしくお願いします」
『おう、今日の敵は最弱の日だ。気張らずに行け。まずは装備のチェックだ…うむ、耐性は問題ないな。宝珠やスキル、コマンドの設定に問題はないか?』
「そちらも大丈夫です」
『オーケーだ。じゃあ…ちょっとそのピアスと証、外してHP増やせ』
「え?」
『嵩増しするんだよ…野良の連中はHPとコメントしか見てないからな』
「そ、そんなのすぐバレますよ!」
『いや、案外バレないんだよこれが。特に証なんて付けてて当然みたいな雰囲気あるだろ。そんな書類の下の方まで見ねーって』
「あの…そう言う大雑把な人に誘われるのはちょっと」
『あ?お前エンド野良ナメてんのか?在野プロからダストン公認のポンコツまでがひしめき合いながら誘い待ってんだぞ!緑玉を一覧に出したらなあ、もうリソースの取り合い、戦争なんだよ!お前が言うようなお上品な奴らがいちいち紅茶でも飲みながら書類選考して野良をご利用くださると思うのかよ!』
「いえ、野良ってもっと厳しいものなのかと…」
『ああそうだな厳しいよ。だが厳しいの意味が違う。セキュリティが厳しいようで実は穴だらけなのが実情だ。なんせエントリーシートに乗るのはコメントと大雑把なステータス数値だけだからな。あとは…特に腕前は雇ってみてのお楽しみよ』
「いやでもそこまで盛っても意味ないですし勘弁してくれませんか。ほらそんな小細工しなくても今の募集者中ではHP高めですし」
『チッ…優等生かおめーはよ。おいちょっと待て。なんだこの初心者ってのは』
「1回目ですので」
『消せ』
「はい!?いや、だって実際初心者…」
『消せ。甘えるな』
「ちょ、ちょっと!そんなこと言って責められたらどーするんですか!」
『そんときゃそん時よ。実は初心者なんですって命乞いをしろ。まず乗っかっちまえばこっちのもんよ。大丈夫だ、どうせ観戦はしてきたんだろ。最弱なら滅多なことはない。誰にだって最初はあるんだからな』
「えぇ…」
『お前な…そんな下手ですううって公言してるような、装備だけがいっちょまえのトーシロを誰が雇うんだよ。ほれみろ、募集してる奴らの称号』
「称号…?なんだかみんな同じような」
『最強状態の敵の討伐称号だ』
「ええっ!?そんなのに勝てるわけないじゃないですか!」
『だからだよ!日和った仲良しモードやってんじゃあねーっつってんだ!いいか、余計なことは書くな!せいぜいは耐性と、飯一回分の時間をやりますぐらいを言っときゃあいい!』
「それでも勝てる気がしないですよ…」
『そうかしこまる必要はねーよ。ここで装備の見た目が活きてくるんだ。少なくとも数値上は、お前の方が、強い!』
「そうは言っても…」
『討伐証明って言ってもな。持ってるヤツも一回きりのマグレのヤツと、プロで分けられるからな。取り分けデルニのヤツらを引いたら悲惨なことにもなる』
「デルニ?」
『強い冒険者のご威光を借りた連中のことだ。デルニ勢と言われる』
「そんなの見分けつきませんよ!」
『だからさ。必要以上にビビんなってことだ。自分以外はヘタクソって思えよ!野良じゃあな!』
「そんなぁ…ドルボードのドライバーとは訳が違うんですよ」
『ほら、お誘いかかったじゃあねーか。何事も経験だ経験。行ってこい』
「は、はい。行ってきます…」
〜30分後〜
「解散しますね〜ありがとうございました!」
「はーい」
「またね!」
「お疲れ様!」
(「「「「なんだこのヘタクソは…」」」」)
完