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聖者

シーン

[シーン]

キャラID
: YX176-339
種 族
: エルフ
性 別
: 男
職 業
: 僧侶
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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シーンの冒険日誌

2019-07-22 18:05:29.0 テーマ:その他

吾輩はえるおである

吾輩はえるおである。名前は「ああああ」。

  どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗い所で鯖がガーガー鳴っていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれはバドという人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。このバドというのは時々我々を妄想の中で食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の操作に載せられてスーと持ち上げられた時何だかわたあめを食べて地震に耐性ができた感じがあったばかりである。

  画面の上で少し落ちついてバドの顔を見たのがいわゆる地雷というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されるべきはずの顔がつるつるしてまるでスライムだ。その後えるおにもだいぶ逢ったがこんなザコには一度も出会わした事がない。のみならず頭上の毛があまりに突起している。そうして全身の中から時々バスバスとテンションを吹く。どうも咽せぽくて実に弱った。これが人間のスキルというものである事はようやくこの頃知った。

 このバドの操作の内でしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常なブーストで運転し始めた。バドが動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。頭髪の具合が悪くなる。到底床ペロ不可避と思っていると、どさりと音がして眼から怪光線が出た。それまでは記憶しているがあとはヤフオクだのアカだのよくわからない言葉ばかりが立ち並び、考え出そうとしても分らない。

 ふと気が付いて見るとバドはいない。たくさんおったキャラが一体も見えぬ。肝心のサポさえ姿を隠してしまった。その上今までの所とは違って無暗に明るい。眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子がおかしいと、のそのそ這い出して見ると非常に動きが鈍い。吾輩は課金済垢から急にヤフオクの中へ棄てられたのである。

 ようやくの思いで検索結果を這い出すと向うに選択ボタンがある。吾輩はボタンの前に坐ってどうしたらよかろうと考えて見た。別にこれという分別も出ない。しばらくして泣いたらバドがまた迎に来てくれるかと考え付いた。てれれてってってーと試みにやって見たが誰も来ない。その内入札期限が切れかかる。腹が非常に減って来た。泣きたくてもソフトキーボードしかない。仕方がない、何でもよいから課金のある所まであるこうと決心をしてそろりそろりとボタンを左りに廻り始めた。どうも非常に苦しい。そこを我慢して無理やりに這って行くとようやくの事で何となく落札臭い所へ出た。ここへ這入ったら、どうにかなると思ってセキュリティの崩れた穴から、とあるアカウントにもぐり込んだ。

  縁は不思議なもので、もしこのセキュリティが破れていなかったなら、吾輩はついに路傍にBANしたかも知れんのである。一樹の蔭とはよく云ったものだ。このセキュリティの穴は今日に至るまで吾輩が隣家のえるおじを訪問する時の通路になっている。さてアカウントへは忍び込んだもののこれから先どうして善いか分らない。そのうちに暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、鯖は重くなってくるという始末でもう一刻の猶予が出来なくなった。仕方がないからとにかく下の決済できそうな方へ方へとあるいて行く。今から考えるとその時はすでに支払い画面の内に這入っておったのだ。

  ここで吾輩は彼のバド以外のキャラを再び見るべき機会に遭遇したのである。第一に逢ったのがノートンさんである。これは前のバドより一層乱暴な方で吾輩を見るや否やいきなり頸筋をつかんで表へ抛り出した。いやこれは駄目だと思ったから眼をねぶって運を天に任せていた。しかしひもじいのと寒いのにはどうしても我慢が出来ん。吾輩は再びノートンさんの隙を見て決済画面へ這い上った。すると間もなくまた投げ出された。吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。その時にノートンさんと云う者はつくづくいやになった。この間ノートンさんの誤検知を狙ってHDD内のヒミツファイルを誤爆消去してやってから、やっと胸のつかえが下りた。

  吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、このアカウントの主人が騒々しい何だといいながら出て来た。激おこノートン先生は吾輩をぶら下げて主人の方へ向けてこのクソバエ増殖ウイルスめがいくら出しても出しても決済画面へ上って来て困りますという。主人は鼻の下の黒い毛を撚りながら吾輩の顔をしばらく眺めておったが、やがてそんなら除外設定してやれといったまま奥へ這入ってしまった。主人はあまり口を聞かぬ人と見えた。ノートン先生は口惜しそうに吾輩を決済画面へ抛り出した。かくして吾輩はついにこのマシンを自分のティアと極める事にしたのである。
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