朝日が部屋の中に差し込み、シュピの寝顔を照らし出す。
「…うーん…。」
眩しいのか、顔をしかめて唸るシュピ。
自分の声で覚醒してしまったのだろうか。ゆっくりと、瞼が開いていく。
そしてすぐに、布団の横で正座している私を見つける。
「…おはよー、ジュセ…。」
「おはよう。」
私は挨拶を返す。
「…どしたのー?」
「え?」
「…んー?」
少しの沈黙。
「…なんでもないー。んー、なんかすっごい眠いよー…。」
普段寝起きは良いシュピが、珍しくだるそうだった。
「あんなにがつがつ食べるから…。体が重くなってるんじゃないの。」
私は軽く笑って、それっぽい理由を言う。
「ちがうもんー。あれくらいの量、朝飯前だよー。晩ごはんだったけどー。」
「上手いね。でも、今は本当に朝飯前だよ。もうすぐ出来るらしいから、急いで顔あらっておいで。」
「はーい。」
よたよたと洗面台へと向かう。
私も身支度を整えた後、シュピと一緒に食堂へ向かった。
食堂には既にハネツキ博士が来ていた。
私達の食事も、並べてくれている。
「おはよ、2人とも。」
「おはようございます。」「おはよー。」
私達は挨拶を交わし、博士の前の席に着いた。
「よく眠れた?」
博士は私を見て聞く。
「いえ、あんまり。」
「まぁ、そうよね。」
そう言うと、ずずっと汁物をすする。
「シュピちゃん、眠そうね。」
今度はシュピを見て言う。
「うんー、いっぱい寝た気はするんだけどー…。」
顔を洗ってもまだどこかぼーっとしている。食事の進みも、いつもと比べると悪い。
「…やっぱり疲れてるのね。今日、帰るんでしょ?ゆっくり休むといいわ。」
「そだねー。やっぱり、ジュセの言うとおりお家が一番かもねー。」
家。3日間帰ってないだけなのに、とても懐かしく感じる。
「この後、荷物を整理して、少し休んだら出発します。」
列車の時刻はお昼前。あまり長居しても乗り過ごしてしまう。
「そっか。短い間だったけど、寂しくなるなぁ。」
博士は名残惜しそうにつぶやく。
「…本当に、本当に色々お世話になりました。」
私は机に両手をつき、頭を下げる。
「やだ、そんなこと。…頭を下げるのは私の方よ。」
そんな様子の私達を、シュピはぽかんと見つめている。
「ごめん、なんでもないよ。」
視線に気づいた私は向き直って、謝る。
「へんなのー。でも、たのしかったー。ありがとねー。」
シュピも博士にお礼を言う。
「こちらこそ、楽しい時間をありがとう。あ、あと帰っても、あんまりジュセさんを困らせちゃだめよ?」
「はーい。しっかり家事、がんばるー。」
「期待してるから。」
私達は朝食を食べ終えると、部屋へ戻った。
シュピはやはり眠いのか、再び寝てしまったが、起こさずに私一人で荷物を整理した。
出発直前になってシュピを起こし、城を出た。