長いようで短かった、この奇妙な数か月間。
あたしの人生は、大きく変わる事になってしまった。
初めはどうしていいか分からなかったけど、次第にこの小さな身体にも慣れて、今ではこれからどうすべきか道も見えてきた。
この辺りで一度、これまでの出来事をこの日記帳にまとめてみようと思う。
"もう一人のあたし"が、そうしたように。
あたしは、ある小さな村で生まれ育った。
とにかく平和で、何にもなく、退屈な村だった。
でも嫌いじゃなかった。
畑をを耕したり、動物を狩ったり。
そしてアイツ達といつまでもバカなことをやって、ずっと暮らしてくんだと思ってた。
けどあの日から、全てが変わってしまった。
村は、突然現れた魔物の軍団に焼かれてしまった。
家も、畑も、パパもママも、友達も。
そしてあたしも。
一瞬の出来事だったから痛みはなかった。
もしこのまま死んでいたら、ある意味幸せだったかもしれないと、今でも思う。
けど、それで終わらなかった。
気がつくとあたしは、プクリポと呼ばれる種族になっていた。
偶然なのか、神さまの意思なのか、それは分からない。
魂は滅びず、このプクリポに乗り移り、あたしは"生き返し"を受けたのだった。
プクリポの身に何があったのかは、傍に落ちていた日記を読んで、大体理解した。
そして、これからどうすべきか考えた。
今までどおりあたしとして生きるべきか、それともこのプクリポとして生きるべきか。
あたしにはもう、帰る場所が無かった。
家族も、友達も、みんな死んでしまったから。
でもこのプクリポにはあった。
プクリポとして第二の人生を始めようかと、最初は考えた。
けどあたしにはプクリポの生前の記憶なんて一切無かったし、故郷に帰っても、お互い辛い思いをする事は明らかだった。
結局、あたしは当ても無い旅に出る事になったのだった。
見知らぬ世界で一人で生きていくのは、とても辛かった。
もう一度死んで楽になろうかと何度も考えた。
でもあの時の恐怖がまざまざと蘇ってきて、なかなか出来なかった。
そんな時だった。
あたしが、あの賢者と出会ったのは。