現実と幻想が入り混じる、この奇妙な仮想世界に逃げ込んで、どれくらい経っただろうか。
「わー、こもれ日がすごくきれいだねー!」
「うん、良い写真が撮れそうだねー。」
色々な世界を渡り歩いてきた。数えきれないくらい沢山の出会いがあった。
いつも最初はぎこちない挨拶から始まり、相手の出方を伺う事に徹する。
そのうちに息が合ってきて"友達"となり、私達は壮大な冒険へと出発していくのだ。
「おそろで写真とるの、うれしいなー♪」
「久しぶりだし、緊張するなー。」
「きんちょうしなくていいよー!いつもどおりでw」
途中、立ちはだかる壁はモンスターだけではなかった。
互いの思想や生きてきた環境は、時に対立を生んだ。
それを乗り越えて絆が深まった時もあれば、袂を分かってしまった時もあった。
そして、どのような結末を迎えようとも別れは必ずやって来た。
互いを理解し合い、一生続くかと思われた関係が、ある時を境にプツンと途切れてしまうのだ。
――仮想世界での友達なんて、所詮その程度の薄っぺらいものなのかな。
別れのたびに、私は何度もそう思った。
「ジュセちゃん、ちゃんと写真とれてるー?」
「うーん。日誌内容考えながら撮るの、なかなか難しい……。」
でも、一緒に何かしている時の楽しさは。
私の相談にのってくれた時の、心の温かさは。
そして相手が辛い目に遭っていると知った時の、悔しさと悲しさは。
"その程度"なんかじゃないと、私に教えてくれる。
現実の友達とは全く違うものなのかもしれない。
けど、決して薄っぺらくなんかない。
「あ、ちょっと待って。」
「どうしたのー?」
「普通の立ち方出来るー?」
「うん、できるけどー。あ、手つなぎたいのね!」
「うんw」
いつ来るかわからない別れは、とても怖い。
でも今は、皆と居られるこの喜びを、噛みしめていたい。