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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

2D動画 静止画
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ザラターンの冒険日誌

2023-02-18 22:03:30.0 2023-02-19 21:28:22.0テーマ:その他

空を目指して(13)(ver6.1までのネタバレ注意)

『 よっし!じゃあさ…
  退治しよう、海賊。
  全員ふんじばってさ、突き出すの。
  魔法戦士団に!


…悪神リナーシェの心域にて。

海賊船を発見して、しばらくうなだれていた
エスタータだったが…

急に自分の頬を両手で叩いて
気合いを入れたかと思うと、拳を握り締めて、
とんでもない事を宣いはじめた。


『 なっ…!
  バカ言うな。おれら3人しかいないんだぞ。
  相手の規模も実力も分からんし…
  ここは一度引き返して、出直すべきだ。
  んで、あわよくば魔法戦士団に通報な。


すかさず横槍を入れるも、
吟遊詩人は予想通り不満をあらわにする。


『 えー!ここまで来て帰れないよ!
  また来られるかどうかも分かんないし!
  何とかなるって!冒険者でしょ!


だか、今回ばかりは譲れない。
おれの判断一つが、
皆の命運を分けるかもしれないのだ。


『 冒険者って家業はな、自分の力量を
  過信した奴から死んでくんだ。

  君の気持ちは分かるが…
  もし奴等と接触するとしたら危険すぎる。
  下手な魔物よりも、悪意ある人間のが
  厄介なもんだぜ。


君なんか、海賊にとっ捕まったら
どっかに売り飛ばされちまうぞ、と
脅しをかけると、ようやくエスタータは
少したじろいだ。


彼女は助け舟を求めてツキモリを見る。
ツキモリは無表情のまま、
指先に炎を灯して呟いた。


『 やりようはあるぜ?
  …『魔族の流儀』でいいんならな。

『 うっ…

『 そう言う物騒なのも、
  なるべく無しにしてくれよ…


頭を押さえて、ため息を吐く。
これではどちらが海賊だか…

動揺する おれ達を見て、
ツキモリは つまらなさそうに
舌打ちをした。


…そんなこんなで。再びうなだれるエスタータを
なだめすかそうと、言葉を探していた時だった。


彼女が急に、ハッと顔を上げる。


『 ね、何か聞こえない…?


特に何も聞こえないが…
おれはツキモリと顔を見合わせた。


『 何か聞こえるか?
『 いや…


『 かすかにだけど聞こえるって!
  これは…歌声…かな?


吟遊詩人は、何かにいざなわれるように、
歌声が聞こえると言う方向にふらふらと歩き出す。


『 あ、待てって!


おれの制止の声も、うわの空で
どうやら届いていないようだ。
何やら様子がおかしい気がする。


慌てて彼女を追いかけようとしたその時。


『 おい鬼!気をつけろ!


ツキモリが警戒の声を上げる。


『 ん!?


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


急に目の前の空間が揺らいだと思えば、
そこから巨大魚のゾンビのような魔物が現れた!

しかも、原理は分からないが
宙に浮いているではないか。


『 うわあ何だコイツ!
  何処からわいて出やがった!?


『 冥府を たゆたってると言う幽魚だ!
  魔界でも滅多に見かけねえ。
  こんなモンを心に飼ってるっていう
  英雄サマの闇が知れるな!


…不意を突かれはしたが、
幸いな事に、幽魚はそれ程強力な魔物ではなかった。ものの数分で戦闘は片付く。


だが…


…我に返ってエスタータの背中を探すも、
彼女の姿はもうすでに
どこにも見当たらなかったのだった。


☆  ☆  ☆ ☆   ☆   ☆


『 畜生、おれのミスだ!
  どうする、ヤバい、ヤバいぞ…
  あの子、大して戦えないのに…!


ただでさえ得体の知れないこの空間に、
魔物はいる、海賊は来ている…
早く見つけないと最悪、命に…!


『 落ち付け、馬鹿鬼。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


ツキモリが、いつもの調子で気だるそうに
つぶやく。


『 あいつは確かにクソ雑魚ナメクジだが…

  わりと頭は回るし、行動力もある。
  そして何より…肝が据わってる。
  迷子のガキじゃねんだ。
  テメェの身くらい、どうにか守れるさ。

  僕達が焦ってちゃ、
  見つかるもんも見つからねぇよ。


『 お前…
  そうか、そうだな…!


何事にも無関心っぽかったツキモリだが…
ああ見えて、わりと人をよく見ているのだな、と
こんな時だが関心した。


『 さすが、歳の甲の貫禄だな。

『 こんな時だけ年寄り扱いすんな。


ともあれ、彼女はまだ、遠くには行ってないはずだ。色々厄介事に巻きこまれる前に、
さっさと見つけ出さねば。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 よっしゃ、急ぐぞ!


そうと決まれば善は急げ。
おれはとにかく全力で走り出した。


『 お前…人の話聞いてたかーッ!?


そして、背に受けるツキモリの呆れ声が
徐々に遠ざかってゆくのだった。



~つづく~
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