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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2024-02-24 11:28:54.0 2024-02-24 14:59:43.0テーマ:その他

ラダ・ガート(5・了)(※ver6.5までのネタバレ注意)

『 俺の旅は、国を興す事で終わったが…

  ザラターン。お前はおそらく、
  俺の踏破できなかった様々な場所を歩き、
  俺の見る事の無かった、
  色々な景色を見て来たのだろう。


ラダ・ガート王は、返した描きかけの地図を
空に透かして、遠く眺めた。


『 そんなお前に、一つ問いたい事がある。


…そして、改まってこちらに向き直った
王の顔を見ておれは、少々戸惑った事を覚えている。


『 お前は…
  人を守り、導く【神】という存在が。
  この世界に、本当に必要だと思うか…?


『 !?


王の突拍子の無い問いに、おれは驚いた。


…天使達が、この天星郷に『英雄』達を招いたのは、神々の去ったこの世界に、彼らを
『新たなる神』として迎える為、と、
聞いた事はあったが…



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


創生の女神と、かの神の子ら…
七柱の種族神によって、世界は創られた。

そして、永らく彼ら神々の手によって、
この世界は守られて来たと聞いている。

きっと、神々の力無くしては、
とうに滅び去っていた事だろう。


それ程に、このアストルティアは、
迫り来る脅威に事欠かない大地。


( 幾度も世界を救った『勇者と盟友』の力も、
  源泉を辿れば『神の力』だった訳だしな…


『 世界の平穏を維持するためにも、
  『人』の上には『王』がいて、
  その上に『神』がいる。
  当然の理屈だと思います。


…故に、これが疑いようの無い世界の『理』。



( …ではあるんだが…


ラダ・ガート王に意見を述べながらも、
おれは自身に違和感を覚えていた。


( きっと、彼が
  おれに求めてるのは、
  そんな当たり障りの無い
  一般論じゃあない。


おれは冒険者。
己の目で見て、心で感じた事を語るべきだ。

それが…たとえ、
今まさに神に成らんとする英雄の、
気分を害したとしても。


『 でも…

『 でも?


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆



『 おれは、旅をして知りました。

  『神様』だって、決して
  全知全能の存在じゃあ無いって事。


  時には、迫り来る難題を前に、
  悩んで悩んで…
  悩み抜いて、そして断腸の思いで
  泣く泣く決断し…

  でも力及ばず失敗して、
  己の決断を後悔し…
  永く苦悩し続けたりする事だってある。




( だったら【神って何だ】?
  おれ達ヒトと、どこが違う。何が違う?




時にチカラの象徴として。
迷える人々の、心の拠り所として。
…神という存在は、この世界に
不可欠なのかもしれない。


でも。


『 だからこそ。

  人々を守り、導く神が、もしいたとして。

  おれ達…人は、その存在に…
  頼り切りになっちゃいけない。

  たとえ己がいかに無力でも。
  
  自分の頭で考えて、 
  自分の足で歩もうとする事を、
  決して、諦めちゃいけないんだ。

  と…おれはそう、思ってます。



『 ……



おれが語り終えても、
王は無言で、目を閉じて腕を組んでいた。




『 はは、すいません!
  質問の答になって無いかもしれませんが。


『 いや…



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆
 

『 礼を言う。



…そう短く答え、
頭を下げたラダ・ガート王の横顔は
いつもの無表情だったが…


なんだか、少し嬉しそうにも、寂しそうにも見えた。

元々あまり表情を動かさない人だったので
その真意は解らない。


…おれが勝手に、
そう思いたかっただけなのかも知れない。




~ラダ・ガート・了~
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