人類の英知と言えば何か。
余の思うところ至高の発明品ラーメンこそ人類の英知の結晶と思うが、今回は言葉と文字を取り上げよう。
・保存がきいて
・閲覧することで伝達できる
これはヒトだけができる。
あるサルが画期的なエサの採り方を発見したとしよう。
それはその個体の知識にとどまる。ムレに、サル全体に伝達できぬ。
ヒトは違う。書き記すことで圧倒的な速度で伝達できる。
書き記せるということは世代を超えて叡智を伝承できると言うことに他ならぬ。
攻略サイト。
我が同胞を、時には余でさえ効率的に葬り去ろうとする忌むべき存在であるが…
我らもこのように伝達を通じて動きを変えられれば不覚を取ることもなかろうが、あいにく我らは滅びることを知らぬし、なによりも迷宮や居城でじ~っと立っているのが好きなのだ。
そしてその知識の泉は時としてお前たちから「自ら発見する喜び」を奪う。
なんとうジレンマであろう!
だが、居城から眺めていると攻略サイトをお手本としても、すんなり上手くいくことは少ないようだ。
実際に体験せねば、読んだだけでは身につかぬと言うことか。
我ら魔族は学ぶことを知らぬが、学ぶのもまた大変なようだ。
お前たちはくじけぬ。
倒しても殺しても、お前たちは楽しそうに相談しつつ再び挑んでくる。
いったいどんな精神構造をしているのかおよそ理解できぬ。
そして戦闘回数を重ねるうちに我らの動きを研究し、学習し、勝率は逆転する。読んだことを体験を通じて知識に変えることでお前たちは強くなる。
知りたい!と言う欲求は恐怖を凌駕するようだ。
お前たちヒトは本質的に「知る」ことが好きなのだ。
そんなお前たちにも欠点がある。
あんなに夢中になっていたアレもソレも。
すべてわかってしまうと、途端に興味を失うようだ。
飽きられて静かに迷宮で突っ立って平和を謳歌している我が同胞も多い。
お前たちは我らと違い部屋でじっと座っていることができぬ。
掘ってもほっても「?」はなくならなぬ。
ためらわず掘り進めてゆくがよい。
余が迎えに行くその時まで。